「北野武による『たけし』」  | くにたち蟄居日記

「北野武による『たけし』」 

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 面白く読めた。但しいくつか違和感を持ったことも確かだ。

 北野はアフリカへの援助を語る。語りながらも「ディナーに彩りを添えたのは、1989年の
ロマネ・コンティの3本の極上ワイン」とも書いている。かかる高級ワインを傾けながら、
アフリカの貧困を語るという場面には庶民の僕としていささか気になるものがある。
 もちろんアフリカの貧困問題はワイン3本で解決するわけでも何でもない。また、むしろ
かように「書かなくても良いこと」をわざわざ書いている意図もあるのかもしれない。但し、
本当にこの部分で北野にアフリカを語らせたいのならば省いても良い一文だ。若しくは
著者は北野にある種の欺瞞を感じたから、この一文を挿入したのだろうか。

 他のレビュアーの方も指摘されているが14章以降の必要性も気にかかる。北野がどれだけの
情報と知見を持って世界を語っているのかは僕には見えない。北野が本当に世界を語りたいのか
もわからない。もし語りたいなら、もっとそういう場面が有っても良い気もするからだ。

 但し、かようないくつかの違和感がありながらも、本書は北野に良く語らせていると思う。
これは著者がフランス人であるからかもしれない。北野は本書でフランスへの憧憬を語る場面
も多い。そんな北野の想いが、そうさせているのだろう。その点で非常に面白い一冊であること
は間違いない。