「植田正治の世界」  | くにたち蟄居日記

「植田正治の世界」 

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 「砂丘の写真家」と紹介すれば良いのだろうか。植田の写真集を見ながら誰しもが考えることなのだと思う。
 
 植田の写真での砂丘とは、背景である。砂丘を舞台として様々なオブジェが撮影されている。人も傘も仮面も自転車も家族も全てがオブジェだ。
 
家族をオブジェとして突き放す視線の冷たさを感じる人もいるかもしれない。但し、そういう印象を与えているものは何かと考えると、これはやはり砂丘という舞台のせいではないかと思うしかない。
砂丘は背景でありながらどうしょうもなく植田の世界全体を覆っている。砂丘とは背景ではなく主人公だと思わざるを得ない。
 
 キリコの絵を想い出すという人も多いようだ。キリコに似ているのは、植田の写真の持つ静寂性とキリコのそれが似ているからかもしれない。人類が滅亡した後の風景を想わせるものが両者にはある。そんな風景に懐かしさも覚える。それは何故なのだろうか。