「抱きしめたい  真実の物語」  | くにたち蟄居日記

「抱きしめたい  真実の物語」 

 
 まず脇役の國村隼と風吹ジュンが実によかった。このお二人は最近の邦画では出ずっぱりと言って良い。こういう俳優がきちんと存在感があることが邦画の厚みを成している。

スター俳優はある種の映画を引っ張り上げることは出来るかもしれないが、オールラウンドで活躍できる方は限られている。主役を張るということはそもそもそういうことを意味する。
 一方名バイプレイヤーは全く違う。彼らには独自の存在感をオールラウンドで発揮できる方がおられる。そういう方は「ある種の映画を引っ張り上げる」のではなく「ある時代の邦画を引っ張り上げる」存在である。大変な努力、洞察力、教養が無いと務まらないだろう。

 一方、主役の北川景子はどうか。映画冒頭の登場場面での北川は素晴らしい。無愛想で攻撃的な彼女の存在は際立っていた。一方、その後の彼女がいささかとんがりが減ってしまい良い人になってしまいがちである点がむしろ残念である。笑顔より怒っていたり不機嫌な方が似合う女優というものは存在する。多くの北川ファンには申し訳ないが、本作でも彼女の笑顔よりも不機嫌な表情の方がしっくりしていた気がする。

 本作はノンフィクションであるということだ。ノンフィクションの重みは十分感じさせるものはある。但し、いくつかのシーンが若干安易な気がした。特に主人公が以前付き合っていた女性とレストランにいる場面をヒロインが見て嫉妬で怒る場面等は正直無くても良かったのではないか。折角の「重み」がいささか減じられた気もした。要は本作の「ラブストーリー」としての味付けだったろう。但し、本作は「ラブストーリー」では終わらない話だと思った次第だ。