「面白い本」 | くにたち蟄居日記

「面白い本」

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著者は日本マイクロソフトの社長を10年程度おやりになった方である。想像するに、
先端産業にてビジネスマンとして第一線で活躍されていたのだろう。そんな方が、同時に
無類の読書家だったという点にまず興味を持った。

勿論読書家である経営者は多い様子だ。「様子」と言ったのは本当はどうなのかが分からない
からだ。例えば「新社長の紹介」というような新聞の記事では、多くの社長のご趣味が読書
であったり、クラシック音楽鑑賞であったりするからだ。特にオペラ鑑賞の多さも目に付く。
即ち、無難な趣味として本や音楽があるのだろう。広報部のマニュアルにでもありそうな
話なのだ。従い本当に読書がお好きなのかには留保をつけたい。大体なぜかように司馬遼太郎
ばかりが新社長の愛読書なのか。

そんな天邪鬼のような視点をもってしても、本作の著者の読書家ぶりには疑う余地が無い。
なにより、仕事に直接役に立ちそうもない本のオンパレードだからだ。読書家というより
は乱読家という言葉が相応しい。

乱読とはその人の興味の有り様を示す。集中ではなく拡散を選んでしまう精神のありようだ。
何を見ても面白がるという性向は、おそらくは赤ちゃんや幼児のそれに近いはずだ。本書で
著者が見せる躍動感に満ちた文章は、幼児が繰り返す「なぜ?」という無限に繰り返して来る
質問にも重なって見える。著者が幼児のような眼差しで世界を眺め、面白がっている姿が
浮かび上がってくる。

それにしてもマイクロソフトという会社も懐が深かったのだろうと思った。