年末の散歩 | くにたち蟄居日記

年末の散歩

 立川に行ってPCの買い替えを検討しようと思った。国立の自宅から立川までは歩いて20分強である。運動不足
も兼ねて、歩き始めた。
 
 立川駅前になって気が変った。九十度左に曲がり、多摩川方面に向かった。
 
 立川の南にある都立立川高校は僕の母校である。当時の通学路をゆっくり歩いた。立川の南口は再開発が
進み、30年前の面影を探すことはいささか容易ではない。それでもいくつかの建物や店名に記憶が有った。
30年前の僕は、30年後に中年となった自分自身がこのように年末の休みに通学路を歩く等ということ
は想像することすらなかったろう。十代後半のあの頃は、目の前の現実だけが一番大事だった。それは
受験であったり、好きな女の子であったりだ。ごく平凡な高校生の「現実」である。
 
 「今でも目の前に追われている点は同じじゃないか」と独り言を言っていささか苦笑いした。年末休みとて
色々と仕事も気になる。メールもチェックする。せめてぶらぶら歩くくらいが休暇なのだ。
 
 日野橋を渡った。日野橋から見下ろす多摩川は水面は広いが水量は少ない。ところどころに
黒い粒があるが、鯉であった。師走の鯉は餌を求めて上流目指してゆっくり泳いでいる。水深が浅い川
を淡水魚の王と言われる鯉が窮屈そうに泳いでいる。その様ですら、今の自分に重ねてしまう。
 
 一生懸命泳ぐ鯉も上から俯瞰すると可愛いものだ。そう思いついて、僕のいささかの憂鬱さが晴れた。
 
 日野橋を渡った先から日野市だ。余り知らない場所である。高校時代も多摩川を渡ることは殆ど無かった
ことにも気が付いた。日野は水の街とのことだ。歩いていてもいくつかの用水を見た。
 
 そんな風にぼんやり歩いていると日野駅に到着した。JRは武蔵小金井の人身事故で遅れていた。大晦日
の前日の昼下がりである。