「夜がはじまるとき」 スティーブン・キング

久しぶりにキングを読んだ。相変わらずの筆達者ぶりにため息をつきながら。
本短編集は「N」と「どんづまりの窮地」が白眉なのだろうが、個人的には「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」が好きになった。
キングによると本作は夜中に数時間で書きあげたという。天才のありかというものを感じさせるエピソードだと思う。
確かに、数時間で書いた「粗さ」というものはある。かつ、話の展開も設定の割には大きくない。主人公の夫が告げる将来の災難も大したものではない。もう少し書き込むことも出来るような気はする。
但し、そこまで精緻に書かなくても良い勢いがある。いや、粗削りの方が伝わってくるものがあるのかもしれない。そういうロマンス譚こそが本作なのである。
夫を亡くした主人公は再婚した。再婚させたことで、この短編のコクがぐっと上がっている気がする。なぜなのだろうか。
本短編集は「N」と「どんづまりの窮地」が白眉なのだろうが、個人的には「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」が好きになった。
キングによると本作は夜中に数時間で書きあげたという。天才のありかというものを感じさせるエピソードだと思う。
確かに、数時間で書いた「粗さ」というものはある。かつ、話の展開も設定の割には大きくない。主人公の夫が告げる将来の災難も大したものではない。もう少し書き込むことも出来るような気はする。
但し、そこまで精緻に書かなくても良い勢いがある。いや、粗削りの方が伝わってくるものがあるのかもしれない。そういうロマンス譚こそが本作なのである。
夫を亡くした主人公は再婚した。再婚させたことで、この短編のコクがぐっと上がっている気がする。なぜなのだろうか。
キングはホラーの巨匠なのかもしれないが、彼のホラーの怖さは「人間の愛」にあることが多い。誰しもがどこかにかすかに持っている「良心」や「善」という部分を突き刺してくる事がキングの「恐怖」なのだと僕は思っている。 本作での再婚に関しても、夫を亡くした主人公がその後の孤独を埋める努力を放棄しなかったということを指していると僕は思う。新しい伴侶を得つつも、電話が掛かってくると、それが亡くなった夫からではないかと思ってしまう。そのリアリティーが、再婚したという事実によって、逆にしっかりと立ち上ってきている。