「亡国のイージス」  | くにたち蟄居日記

「亡国のイージス」 

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 阪本という監督はデビュー作「どついたるねん」以来、好きな方である。どちらかというと
予算が少なそうな中で、手間を掛けて上質の作品を出してきた方だ。特に個人的には「王手」
が実に気に入っている。ある種の雰囲気を切り出す手さばきが素晴らしい。

 あれから20年余たち、坂本もメジャーな監督だ。本作もどう見ても低予算とは思えない。
豪華な作品を作れるようになった阪本を見るとある種の感慨もある。

 但し、と言ってしまう。

 但し本作は過去の低予算作品と比較してどうなのだろうか。僕には疑問である。

 何が無いのかと考えると、本作は人間の造形が実に薄いという点に尽きる。長い原作を
映画にする際の典型的な失敗として、原作で書きこまれた人間像が映画では出せないという
点にあるわけだが、本作も忠実にかような「映画の罠」に嵌っているとしか思えない。

 それでは開き直って本作の主人公を人間ではなく、イージス艦だと設定して見直したら
どうか。

 それはそれで一つの考え方かもしれない。但し、大抵が艦内を舞台としており、戦艦
としてのダイナミズムは見られない。これはしょうがないと思う。そもそも機密事項
であろうイージス艦をここまで撮影できただけでも大したものだからだ。それ以上を
期待することが間違っているということだ。

 ということで、阪本映画としては僕は消化不良だった。むしろ近年の「大鹿村」あたり
の方がよほど阪本らしい映画だったから。