「さよならのあとで」 詩 ヘンリー・スコットホランド  絵 高橋和枝  | くにたち蟄居日記

「さよならのあとで」 詩 ヘンリー・スコットホランド  絵 高橋和枝 

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 死んでしまった「わたし」が、生きている「あなた」に語りかける一編の詩を本にしたものだ。高橋和枝という方が
とぼとぼとした筆致で絵を添えている。若しくは全くの空白のページも多く挟みこまれている。僕は本書を読みながらそんな空白のページから立ち上る「何か」にしばしば考えさせられた。

 本とは何かが書いてあるページを綴じてつくられるだけではないということだ。空白は、それが空白であることの意味を「読む」人に迫ってくる。いま「読む」と言ったのは、空白のページを「眺める」ことと「読む」ことには大きな違いがあると思うからだ。本書ではまさに空白を「読む」作業を強いられる。

 では何を「読まされている」のか。

 本書は「死」を扱った本だ。その本に数多く挟み込まれている「空白」とは、おそらくは「死なれた」側の心象風景なのだろう。大切な人を喪った喪失感が、そんな「空白」によって、綺麗に表されている。そんな「空白」の中で、時折、詩が挿入され、イラストが現れる。そんな詩やイラストとの「出会い」の鮮やかさは、何より「空白」があるからだ。

 雄弁な「空白」を創ったところに、本書の発行者の独創性がある。本書は詩を書いたヘンリーという方、イラストを描いた高橋という方、に加えて、「空白」を書き込んだ発行者の3名が創り上げた、一編の詩集だ。一つの詩だけで出来ている本を「詩集」と呼ぶことにためらいはなかった。