「プレイズ バッハ」  マルティン・シュタットフェルト | くにたち蟄居日記

「プレイズ バッハ」  マルティン・シュタットフェルト

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 他の方の書かれたブログでマルティン・シュタットフェルトという方を知り、このCDを購入した。

 他レビュアーの方と同様、この奏者はグレングールドを意識していることは間違いない。ここで「意識している」
と簡単に書いたわけだが、そもそも「意識している」という言葉の意味は案外色々な意味があると思う。
「グレングールドを真似ようとしている」ことも「意識している」の1バージョンであろうし、「グレングールド
とは全く違う演奏をしようとしている」ということも「意識している」の1バージョンである。そういう
色々な「意識」の中で、この奏者が何を選んでいるのか。それを考えることがこのアルバムを聴く知的な作業の
一つだと思う。

 グレングールドがバッハに持ち込んだものは「演奏のスピードの変化」というものだったと仮定してみる。
名高いグールドの二つの「ゴルドベルグ変奏曲」も、その二つの演奏時間の違いという点で際立った特徴
がある。端的に言うと「早く演奏すること」と「遅く演奏すること」の二つを提示して、演奏の速度が
いかに同じ曲の表情を劇的に変えるかということを見せつけたのだと思う。

 マルティン・シュタットフェルトという方も速度への拘りが強い方だと僕は聴いた。その意味では「グールド
を真似する」ということが大きな方向性として感じられる。若しくは、方向性ではなく彼の戦略なのかも
しれないが。

 いずれにせよ1アルバムだけで判断することは難しい。もう少し聴いてみようと強く思った次第だ。その
意味では僕は十分にマルティン・シュタットフェルトに絡めとられたとも言える。