「世界」 2013年7月号 | くにたち蟄居日記

「世界」 2013年7月号

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 小出裕章の「滔々と流れる歴史と抵抗ー田中正造没後100年に寄せて」を興味深く読んだ。

 まず田中正造という方は教科書で読んだ程度で、余り知らなかったので今回良い勉強になった。勿論本稿で
描かれている田中正造が実像かどうかは保証されていない。但し、教科書の一行で書かれていた田中正造
ではなく、幾分肉もついた人物像には興味を覚えた。

 また逆説的に言うと、当時の足尾銅山が日本の生命線であったことも描かれている。外貨獲得の大きな
手段であった足尾銅山を当時の政府が守ろうとした事自体は、当時の日本の置かれた状況を鑑みても
理解出来ないわけにもいかない。
 「大を活かすために小を殺す」という言葉があるが、その一例だったのだろう。21世紀の今から当時の明治政府を批判することは簡単だが、それで終わってしまっても意味はない。

 その意味で、「それで終わらない」ように足尾銅山を原発事故に結びつけるのが本稿の後半部分
である。

 原発に関しても「大を活かすために小を殺す」という発想があったのだと僕は思う。但し、そこで
間違えたのは原発のもつリスクを過小見積もりした点にある。結果として「小を活かすために大を
殺す」という魔物であったということだ。

 最近原発事故の話も少なくなってきた。喉元過ぎればなんとやらということなのかと思う。
原発事故は今なお継続中である点に不感症になってきたとしたら、二次災害の日も近いかもしれない。