「ノン子36歳(家事手伝い)」  | くにたち蟄居日記

「ノン子36歳(家事手伝い)」 

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 非常に暴力的な映画だと思う。北野武のいくつかの作品にも通底する暴力を感じさせられた。

 主人公のノン子の年下の相手役となるマサルに関しては、素直で一途な青年であるとする評も散見された。但し、僕から
見えるマサルは非常に乱暴な方である。

   自分の思い込みで祭りに出店出来ると考えること。

   たまたま出会った女性(ノン子)の実家に転がり込んでしまえること。

   出店出来ないことで祭りをぶち壊してしまうこと。

   売るために調達してきたヒヨコたちをばらまいてしまうこと。

 そんな姿を見ていると、好青年には程遠い。自分の意に沿わない際に見せる暴力性は「未熟な青年」とも
言い難いような雰囲気が漂っている。主人公のノン子、彼女の前の夫、彼女の妹等、軒並み暴力的な方が出てくる映画だが
やはりマサルが際立っている。

 但し、本作は暴力映画にも関わらず、ある種の清々した雰囲気が漂っている。

 舞台は秩父だというが、実に映画らしく美しく撮られている。個人的には本作に幾度か出てくる列車の場面がきわめて印象に残った。主人公たちの逃走行としての列車ではなく、ただ風景として列車が走っている場面が素晴らしい。特に最後の列車が過ぎた後にノン子が自転車で斜めの線路橋を渡る場面が実に映画的である。監督の映像作家としての本能と言えるのかもしれない。