「西鶴一代女」  溝口健二 | くにたち蟄居日記

「西鶴一代女」  溝口健二

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 観るのに体力を使う作品である。

 主人公は美貌がゆえに、人生を転落していく。男性として女性は美人である方が得なのだろうと考えていたが、この映画を見る限り、時として美貌がその人の人生を狂わしていくということもあるのかもしれないと思った。

 なおかつ、主人公は美貌だけではなく、なまじ毅然とした性格であっただけに、更に不幸を極めていく。自分の美貌を頼んで生きて行こうと安易に考えたとしたら、そこまで不幸になることもなかったろう。

 だからこそ、本作の救いのなさが際立つ。観終わった後の疲労感は、本作を貫く異様な緊張感と、その救いの無さにある。


 田中絹代という女優は凄い。

 こういう役を演じることは女優としてのキャリアを考えても、相当の挑戦であったはずだ。堂々と転落する女性を演じている彼女を観ていると溜息しか出ない。山田五十鈴等を観てもそう思うが、今の日本にこのような女優がいるのだろうかと考え込んでしまう。

 これで溝口作品を観るのは三作目である。まだまだ観ていない作品があることは僕にとっては幸せだと言って良い。黒沢と小津の作品は学生時代から観てきて、そのかなりを鑑賞してきたが、溝口作品を観る機会を逸してきた。漸く、少しづつ観始めているところだ。