「祇園囃子」  溝口健二 | くにたち蟄居日記

「祇園囃子」  溝口健二

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溝口監督の作品を鑑賞するのは「雨月物語」に続いて本作が二作目である。

 若尾文子の初々しさ、木暮美千代の色気も画面から香り立つが、やはり浪花千栄子の迫力が一番印象的だ。自分に盾突く木暮に対しては、きっちりと仕事を干し、木暮が妥協した後は、きっちりと仕事を回し始める。ある意味、潔いとも言える対応ぶりに、花街を生きるということはどういうことかを見せつけるものがある。

 それに比べると、出てくる男性は見事に全員情けない。色と欲と権力にまみれた姿、と書くとまだ格好良いが、本作で描かれる男性はもはやコミカルとしか言いようがない。凄みある男を一人くらい出してきたら、この映画もかなり雰囲気が変わるのだと思うが、溝口監督はそうはしなかった。ということで、この映画では男性は全て笑い者である。

 木暮は妥協して花街を生きることを選んだ。彼女の将来が浪花千栄子ということになるのかもしれない。浪花にしても老獪で冷酷な置き屋の女将というだけではない。きちんと義理とけじめを付けた上で、人情味もほのかに漂わせている。この作品は木暮が若尾を教育する話ではない。浪花が木暮を一人前にする話なのだろう。