「世界史の構造」  柄谷 行人 | くにたち蟄居日記

「世界史の構造」  柄谷 行人

 大著であり、読み終わるのに一カ月程度掛かった。

 本書は4つの「交換様式」という新しい物差しで歴史と現代を測り直そうという試みであると読んだ。4つの内3つは既に実現したものだが、それを乗り越える4つ目の物差しを作り上げることが人類の新しい時代を作り上げるという主張だ。
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 何かを希望する事の基礎には必ず現実への絶望がある。著者も9.11以降からリーマンショックまでの7年間を基本的には「絶望」という切り口で総括したのだと僕は読んだ。ではその「絶望」から「希望」への脱出口はあるのか。著者は有ると信じている。そして、その脱出口を切り開く方法として、4つ目の物差し=新しい「交換様式」があるべきだと断定している。

 従い、本書を共感しながら読むに当たっては、まずはその著者の「絶望」に共感しなければならない。他人の絶望に共感することは簡単なようで実は大変難しいのだと思う。「ゆでガエル」という言葉がビジネスの世界で良く使われているが、それは、そもそもの人間の考え方の話だ。著者の絶望を共感出来ないような自分がいるとしたら、それは時代に流されているからかもしれないと考えることは本書を読む際の一つの姿勢なのかもしれない。

 僕自身は有る程度の「共感」を持つことは出来た。但し、著者の語る新しい「交換様式」に関しては、正直具体的なイメージが持てないままに終わった。
 これはまずは僕自身の知見の無さと不勉強であることは間違いない。本書くらい注を熱心に読んだことも希であった。
 但し、著者としても「これが4つ目の『交換様式』だ」と断言した部分も無かったのではなかろうか。これだけの大著なので再読してその個所を探すという作業もままならないが、やはりかような断言は無かったのではないかと、今この瞬間は思っている次第だ。これは著者を責めているわけでもなんでもない。その新しい「交換様式」を探していること自体が、現代の課題だからである。