「反哲学史」 木田 元 | くにたち蟄居日記

「反哲学史」 木田 元

 本書は平易な文章で書かれた哲学の入門書だ。しかし、平易な言葉が語る内容は平易な内容ではない。

 僕が学んだのは以下である。「西欧哲学」というものはプラトンが考案したイデア論を基礎にして発達してきた欧州という地域限定の特殊な考え方であり、決してそれが世界全体の統一基準ではないし、そう理解してもいけないということだ。「反」という標題に込められてたニュアンスは、そういう警告である。

 産業革命等を通じて、(この産業革命も優れて、形而上学的な世界認識に源がある事も本書で学んだ点だ)欧州が世界をリードしてきた。それゆえ 本来地域限定な「西欧哲学」が、あたかも世界統一基準のような様相を示していることも歴史だ。僕は日本人とは比較的哲学好きな民族だと思っているが、その基準はやはり「西欧哲学」にあると感じている。

 但し、繰り返すが、「地域限定」であることを常に覚えているべきだ。「西欧哲学」を絶対視せず、常に相対化していく姿勢を著者は訴えているように思える。


 僕にとっての哲学とは「世界認識の方法」である。一つの物を見るに際し 見る角度や見る人によって、その物はいくらでも変わりうる。その物自体は変わらなくても 認識の仕方によって、結果として、無数の変化を起こしてしまうのが「認識」の力であり呪術でもある。「西欧哲学」は その「認識」の一つのバージョンに過ぎないと言ってしまえるかどうか。そう考えると、即断するには、もう少し勉強しないと駄目なのだろうなということが素直な気持ちだ。


 大変刺激的な一冊である。