「日本人へ  国家と歴史編」  塩野七生 | くにたち蟄居日記

「日本人へ  国家と歴史編」  塩野七生

 塩野七生の著書「日本人へ  国家と歴史編」を読んだ。
 
 著者の強みは二点ある。一つはイタリアという海外に永きに渡り在住してきたこと。一つは欧州の歴史から物事を照らして見ることができること。この二点が、塩野という方の背骨になっている。
 

 僕自身、海外に暮らした年数は本日段階で七年くらいになる。四十五年の人生において、七年を海外に過ごすという経験を得たことは得難い。自分では気がつかなくなくても物の見方には影響が出ているはずだ。

 ぼんくらの僕にしてもそうであるなら、鋭敏な著者はもっと影響を受けているはずだ。また、そんな影響を自覚的に捉えて、その「眼」で日本を見るくらいの戦略は、著者にとっては朝飯前に違いない。
 それに加えて欧州の歴史というもう一つの強みがある。ローマ帝国とルネサンスという、世界史としても魅力ある時代を研究し、その上で、創作を行ってきたことで「見えてきているもの」が著者にはある。それも十分本書で実感される。
 

 塩野という方は、つくづく 愛国者なのだろう。それが最終的な読後感である。彼女はカエサルを愛し、マキャベリを愛し、日本を愛していることがひしひしと伝わってくる。日本人の中で、著者の愛を受けられる人がいるかどうかは疑問なのだが、それでも「国」に対しての 塩野の愛情は誠に深い。そんな愛情に応えられるのかが問われているということか。