世界中に緑に囲まれた大地が見える
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広大な森の広がる山のふもとにぼくらは暮らしている
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ヒトは科学万能の時代をとうの昔に終え、
自然との調和の時代を迎えている
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ひとつの都市のそばには必ず広大な森があり、
季節になると夜に天然の蛍(ほたる)が舞う小川まで流れている
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すでに国という概念はなく、
貨幣経済はもう遠い過去のものとなっている
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世界各地にさまざまな人種が集まってコミュニティを作って暮らし、
必要なものを必要なだけ作り、
必要なときにのみ使用する社会になっている
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資源はほとんどが循環され、
再利用されている
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高齢者は特別大切にされ、
家族と離れて暮らす年寄りはほとんどいない
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無限ともいえる宇宙エネルギーがすべての動力源で、
その涸れることのない資源を発見したとき、
ヒトは所有ということが本来必要のないものであることを悟った
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消費という概念はもう消えていた
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ヒトはそれぞれの職業というかたちの役割分担をしていたが、
その対価は〝 感謝 〟の想いを伝えあうということだった
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本来の循環型社会がもどってきていた
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すべては涸れることのない宇宙エネルギーの循環によって作られていた
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きみとぼくはふたりいる子供たちが学校の主催する宇宙旅行に出かけている間、
久しぶりにふたりきりで、旅に出ていた
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森の中の泉のほとりで、
きみはひらひらと華麗に舞う黒い蝶を見つけた
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蝶はきみのそばへ飛んでくると、
数分の間ひらひらときみのまわりをまわっていた
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あの蝶はわたしたちが記憶の底に秘めている悲しみを知っているような気がするわ
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ぼくは突然そう言いだしたきみの横顔を見つめた
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ねぇ、遠い昔、
どこかで世界の終わりがあって、
そこにふたりがいたとしたら、
あなたは最後にわたしを死ぬまで抱きしめていてくれたかしら?
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もちろんさ
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きみのために、
子供たちのために、
そしてずっとつづいていくいのちのために、
世界はきっと終わらない
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仮に今見えている世界が終ってしまっても、
何度でもヒトは自分の愛する者たちのために世界をゼロから作り上げるだろう
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でも何だって突然そんなことを聞くんだい?
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今、きみのいる星は大きく変わろうとしている
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ある意識のレベルから次のレベルへと大きく変わろうとしているのだ
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何かが変わるときは、
変わろうという力と、
元の状態にとどまろうという力が拮抗して、
しばらくの間は不安定な状態がつづくかもしれない
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世界中にさまざまな葛藤があふれるかもしれない
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きみ自身の人生においても、
さまざまな悲しい現実に直面するかもしれない
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でも間違いなくすべては新しい方向に変わっていく
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それは止めることのできない宇宙の自然な流れなのだ
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この星では、
変化は時を経るにつれてどんどん加速していく
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何億年もの、
ヒトがただひたすら純粋に生存することに、
一生をかけてゆっくりと費やしていた時代
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何千万年もの、
言葉のいらなかった時代
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ヒトがまだ意識だけで静かにコミュニケートできた時代
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何万年もの、
文明が創造と消滅を何度も繰り返した時代
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何百年もの、
科学というものを万能と信じ込んで、
コミュニケーションに電波や活字や通信器具を必要とした、
恐ろしく不便な時代
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そして、
ヒトが地球の美しさと、
宇宙の神秘と、
いのちの無限の可能性を思い出しはじめた時代 ・ ・ ・ ・ ・ ・
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