小さな愛のものがたり 7話/全9話 | source message

source message

人生は素晴らしい! 世界はこんなにも美しい!!




ふたりが別れてから、どれくらいの時が流れただろう。



別れと呼ぶにはあまりにも長すぎる時が・・・



 



ふたつの木は、



まるで自分の居場所を知らせるかのように、



まずは天高く、その身を上空に伸ばしていった。



それは、なにものとも比較できない程に・・・



 



遠くの地で、ふたりはお互いの居場所を見つけ合った。



 



しかし、ふたりの成長はそこで終わりではなかった。



 



たとえ、お互いの葉が触れ合うまでにその身を伸ばしても、



ふたりは成長を止めようとはしなかった。



ふたりは更なる気の遠くなるような時をかけ、



その枝を命一杯ひろげ、その葉を無限にまで増やし、



お互いの身を絡め合わせていった。



 



それはまるでふたりが、



両腕をつかって、お互いを抱きしめ合うようだった。



 



そしてついにその枝と葉は、



ふたつの幹から伸びているとは思えないまでに、



見事ひとつに重なり合った。



 



 



そう、



すべてはこの時の為に



 



 



ふたつの木から、



それはそれは大きな、ひとつの木が生まれた。



 



それはふたつの存在が、ひとつの存在に返った瞬間だった。



 



ふたりにとって、すべてが満たされた瞬間だった。



 



ずっとお互い信じ合っていた、そのすべてを確認し合えた瞬間だった。