ふたりが別れてから、どれくらいの時が流れただろう。
別れと呼ぶにはあまりにも長すぎる時が・・・
ふたつの木は、
まるで自分の居場所を知らせるかのように、
まずは天高く、その身を上空に伸ばしていった。
それは、なにものとも比較できない程に・・・
遠くの地で、ふたりはお互いの居場所を見つけ合った。
しかし、ふたりの成長はそこで終わりではなかった。
たとえ、お互いの葉が触れ合うまでにその身を伸ばしても、
ふたりは成長を止めようとはしなかった。
ふたりは更なる気の遠くなるような時をかけ、
その枝を命一杯ひろげ、その葉を無限にまで増やし、
お互いの身を絡め合わせていった。
それはまるでふたりが、
両腕をつかって、お互いを抱きしめ合うようだった。
そしてついにその枝と葉は、
ふたつの幹から伸びているとは思えないまでに、
見事ひとつに重なり合った。
そう、
すべてはこの時の為に。
ふたつの木から、
それはそれは大きな、ひとつの木が生まれた。
それはふたつの存在が、ひとつの存在に返った瞬間だった。
ふたりにとって、すべてが満たされた瞬間だった。
ずっとお互い信じ合っていた、そのすべてを確認し合えた瞬間だった。