僧帽弁閉鎖不全症の手術 | 草村動物病院 「動物の診察室から」

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新潟市の草村動物病院のブログです。
高度獣医療のこと、日々の診療で思うこと、動物たちのことなど書いていきます。

 私の病院では、外科手術はほとんどの症例に対応できます。

 

 勤務医の先生たちも手術が上手になり、私では対応できない難しい症例は、軟部外科の先生、整形外科の先生、脳外科の先生、それぞれ日本のトップの外科医が、私の病院に来て手術を行ってくれます。

 

 そのような病院を目指してきたのですが、人工心肺を用いて体外循環下での心臓手術だけは私の病院では対応できませんでした。

 

 小型犬にとても多い「僧帽弁閉鎖不全症」、この病気は内科治療を行なっても、投薬開始後徐々に病気進行し、肺水腫を起こしなくなってしまいます。

 

 この病気に対する外科手術も行う施設があるのですが、横浜、名古屋、大阪の3施設だけです。

 

 当院の患者様で、外科適応のわんちゃんは、今まではこれらの病院を紹介し、その施設で手術を受けていました。

 

 しかし、手術費用が高額なことと、遠方まで連れていかなければならないこともあり、名古屋まで行かれる患者様は限られていました。

 

 前々から、なんとか当院での手術の可能性を考えていたのですが、大阪の近畿動物医療センターの循環器外科のチームが来てくれて手術を行うことができました。

 

 第1回目の手術は、昨日行われました。

 

 

 金曜日の夜に、心臓外科チーム5名が到着し、2時間くらいで翌日の手術の用意をしてくれました。

 

 その夜遅くに別の3名の獣医師が新潟入りして、昨日9時すぎに病院に入り、11時に麻酔を導入し、5時に無事にICUに戻ることができました。

 

 

 ベリーちゃん、11歳半の女の子です。以前から僧帽弁閉鎖不全症で内科治療をしていて、外科手術希望でした。

 

 一時期、名古屋の茶屋ヶ坂動物病院さんに行こうと考えていたのですが、昨年の12月に、渡辺先生と大阪の動物医療センターに行き、外科チームの執刀医とお話をさせていただき、昨日の日程が決まり、新潟で手術を行うことになったのです。

 

 現在でも、手術は3か月待ちとのことでしたが、今後も手術が必要な子はお願いしてきていただけることになりました。

 

 手術チームは8名、執刀医、第一助手、第2助手2名、機械出し1名、麻酔医、人工心肺を動かす技師さん1名、動物看護師1名でした。

 

 手術は流れるように行われ、さすがお見事でした。

 

 

 朝の、ICUの「ベリーちゃん」、渡辺先生が一晩つきっきりでした。

 

 

 朝の治療のベリーちゃん、手術は無事に終わりましたが、今後色々なことが起こる可能性があり、目が離せません。

 

 でも、ベリーちゃん、手術を受けることができ、手術もうまくいってよかったです。