猫の骨肉腫 | 草村動物病院 「動物の診察室から」

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新潟市の草村動物病院のブログです。
高度獣医療のこと、日々の診療で思うこと、動物たちのことなど書いていきます。

 日本猫のたろう君は、12歳の男の子です。

 昨日の夜からトイレに行くのですが、おしっこが出ていないようなので今朝連れてこられました。

 膀胱を触ってみると、膀胱は尿がたまってこちこちになっています。

 ペニスの先は赤く充血し尿道に白いものがつまっています。

 猫ちゃんは、本来は肉食で尿のPHが酸性になっているのですが、普通売られているドライフードを食べていると、尿が中性からアルカリ性になり、尿中のマグネシウムとリン酸塩がくっついて、「リン酸アンモニウムマグネシウム」別名「ストロバイト」の結晶ができてしまう子がいます。

 その結晶が集まって砂状になり、尿道の先につまってしまうと、排尿ができなくなり、2日目には腎臓が悪くなり、そのままでは死亡してしまうのです。

 たろう君は、尿道がつまっていましたので、すぐにそれを解除し尿道カテーテルを入れたままにして、点滴中です。

 たろう君は4年前に右の顎の骨が腫れてきました。

 骨が腫れるのは、骨の腫瘍が強く疑われます。すぐにCT検査、骨のサンプリングを行い病理検査にだしたのです。

 結果は骨肉腫です。

 しかし、犬の骨肉腫は限りなく悪性で5ヶ月ほどで肺に転移をして死んでしまう病気です。

 でも、猫の骨肉腫は悪性なのですが、犬とは違って大きくなる速度は遅く、遠隔転移も起こりにくい病気です。

 そのため、骨肉腫が下顎にあっても手術で切除は行いませんでした。

 たろう君は右顎に骨肉腫がありますが、普通に食事もできて初診からもう4年が経っています。

 尿閉塞を起こし、腎臓の機能も悪くなっていますが、まだ治る範囲です。

 4~5日入院ですが、きっと元気になって帰ることができるでしょう。







右顎が大きく腫れていますが、食事も普通にすることができます。