犬の脊髄梗塞 | 草村動物病院 「動物の診察室から」

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新潟市の草村動物病院のブログです。
高度獣医療のこと、日々の診療で思うこと、動物たちのことなど書いていきます。

 2日前に1頭のわんちゃんが、後ろ足がふらふらするとのことで来院しました。

 2週間前に発症し、だんだん悪くなってきたとのことです。

 その子の名前は「オリバー君」、もうすぐ6歳になる男の子で、種類は「ノーフォークテリア」とても珍しい犬種です。

 オリバー君は歩けるのですが、後躯はかなりふらふらで、特に右後ろ足の反射が悪くなっていました。

 症状から、脊髄の疾患です。一番多いのは腰部の椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアで2週間の間だんだん悪くなっている場合には、手術をした方がよいことが多いのです。

 飼い主様には症状をご説明し、麻酔下でのCTまたはMRI検査が必要なこと、もし手術の必要があればそのまま手術を行った方が良いことをお話ししました。

 飼い主様も、検査、手術をご希望されたため、翌日に検査の予定をいてました。

 椎間板ヘルニアの検査は、脊髄造影のCT検査です。しかし、オリバー君の造影検査の結果は椎間板ヘルニアはありませんでした。

 しかし、脊髄の1部で造影剤が周囲均一に薄くなっている箇所がありました。これは脊髄が腫れている時に見られる画像です。

 考えられる疾患は、脊髄梗塞です。

 脳の血管がつまると「脳梗塞」、心臓の血管がつまると「心筋梗塞」、脊髄の血管がつまると「脊髄梗塞」です。

 脊髄梗塞は、MRI検査でわかりますので、オリバー君はそのままMRI検査になり、オリバー君の後躯不全麻痺の原因は脊髄梗塞が強く疑われたのでした。

 脊髄梗塞の治療は、手術ではなく、内科的治療です。安静にしてステロイドの内服で80%のわんちゃんはなおってきます。

 オリバー君は、1日入院して今日お家へ帰りました。

 良くなるといいですね!




 



神経検査中の、オリバー君。







とてもかわいい子です。