私は、恐れている。精一杯強がっているが、全く様になっていない。不安、闇しかない。先は真っ暗で、手探り以外の何物でもない。

私は弱い人間だ。普段は素っ気ない態度を取りながら、助けてほしい時だけ泣いて頼む。人々は仕方ない奴だと助けてくれるが、助かった途端に高笑いを始める。本当にずるい人間だ。

今、私は不安に苛まれている。生活に対する不安、仕事に対する不安、その両方が私の双肩に重くのし掛かっている。今までもプレッシャーやストレス、潰れてしまいそうなことはたくさんあったが今回はまた質の違うものでありそうなのである。

今までは影響を受けるのが私、そう、個人であるのみだった。もちろん、そうは言いながら周りの方々にも迷惑はかけていた訳だが苦笑いまでで済むレベルだった。

しかし今回は違うのである。金銭的に他者に損害を与える可能性がある。それこそが経済活動、つまりは仕事というわけだがミスをすることは人の人生を崩壊に至らしめ、場合によっては命を奪いかねないのである。

大袈裟に思われるかもしれないが、意外とそうでもない。現実的に多大な損害が生まれれば病院は潰れるだろう。それは多くの患者の行き場を失わせ、死なせてしまうかもしれない。

いきなりにそんな大損害を生むはずもないが、可能性の話をすればキリがない。

生活にしたって借金を背負い、返せなければいつかは死ぬしかなくなる。債務整理などすれば職場を追われるだろう。次の就職口だってない。

そのスタートが、今、目の前にやってきていると思うと頭が割れるように痛い。心拍数が上がり、息が切れ、頭をかきむしって物を壊したくなる。恥ずかしいことだが、正直な気持ちだ。

だが、死ねない。迷惑をかけられない。助けてくれた人々、ここまで生かしてくれた人々に弱音を吐くわけに行かない。逃げ帰るわけにも行かない。

だから、やるしかない。たった一人で。背負うのだ。全て自分で背負い込んで、心が折れてもなお、背負い込んで生き続ける。

地震の影響と、ショックにより更新ができなかった。正直、自分に被害がなかった分「次は我が身か」という思いが強くなった。そのうち関東でも地震が起こると言われている中で、今回のことを教訓にしなければならないだろう。特に、身近に揺れを体感したわけなのだから。


それだけではない事情がある。私がこれから働く場所はそういったことと無縁ではない。けが人や死人を前にして私は冷静を保っていられるか。放射能の恐怖があっても患者様を勇気づける発言ができるであろうか。また、その時までに仕事はできるようになっているだろうか。


ドラマのようなすさまじい状況の中で、私は働かなければならないのだと思った。それも登場人物として、その病院を支えることをしなければならない。とても考えられないことだが、それが現実だと知った。



家族と離れて暮らすことに大した問題はない。私がいないからといって何かいざこざが起こるとかいう心配はしていない。しかし、もし、震災の被害に遭い、私は夜通し働かざるを得ず、家族は危機にさらされていると知ったら。


いち個人としての行動を取るのか、ひとりの事務員としての病院の安定を図ろうとするのか。


全く分からない。どちらも正解ではなく、どちらも正解。要は答えのない問いに答えを出さなければならない。


それを考えたら、不安で不安で、仕方なくなった。仕事がうまく行くかとか、生活ができるかとかいう当初の不安とはまた別の、そして格段に違うレベルの不安が襲った。


私は働く中で、その問いに答えを出す準備をしなければならない。確かに難しい話になるだろうが、これは避けて通れない話になるだろう。


結果、仕事を取ったとして事後に「親不孝者」という烙印が押されるかもしれない。親を捨ててどこの誰かも知らない人間に奉仕していた、と。


しかし、それも答えだ。必ずしもそういった答えが出るかは分からない。その時にならなければ。だが、そういう答えを出したとして、その誹謗中傷に耐えうる決心を持っておかなければならない。そういうことだ。


どちらにせよ、誰かが決めてくれるわけではない。私が、たった一人で決めねばならないことだ。

大変なことが起こっている。地震だ。もう被害は収まっているが、東北は甚大な被害を受けてなおも避難生活が続いている。こんなことが起こるとは全く思いもしなかった。


さらに問題なのは放射線漏れ事故だ。福島の第一、第二原発での崩落事故によるものだが、現状を聞く限り原子炉そのものが崩壊したものではないと知り少し安心している。


現地被災した方々には心より痛み入る。私がもっと早く働いていたなら、事務員として患者様に関わっていたかもしれない。それができれば良かったのだが。


そうした現地の方々には申し訳ないが、事態が落ち着くにつれて現実に引き戻される。そう、今後の引っ越しに関して障害が出始めた。大したものではないが、予定を少し後ろに遅らせた形で進めなければならない。もちろん急いで準備するということになる。


ある程度、現地で買って持ってくるという考え方にもなってきている。パソコンなどは回線の問題もあり、現地で買う可能性も出てきている。何しろこの地震の影響がどこまでやってきているかが分からない。これについて分からない限りは買いに行ったところで売れないと言われてしまうだろう。


製品の故障に関しても心配がある。これだけの地震だ。大きな電化製品には影響があってもおかしくない。それに対しては保証を活用すればよいのだが、保証を利用している間にも生活は進行しているし研修は始まってしまう。これについても考える必要がある。


現地に行ってみたかったがこれでは数日できないだろう。あの人に会う時間は増えたので良いといえば良いのかもしれないが、新しい生活にも注視しなければならない。


まずは冷静に判断するべきだ。そういった意味で早めに採血に行ったのは正解であった。今後も判断を誤ってはならない。


家族を守れるのは自分だけなのである。自分が父の留守を守るのだ。それが使命。


今日はまず状況を確認し、新たな計画を立て直すことにする。地震のニュースについても適時取り入れる必要がある。段々と各路線が回復してきているが、これによって今後の対応も変わる。


もう一度言う。こういう時だからこそ、冷静に判断しろ。まずはそれを大事にしたい。