レイ・パーカー・ジュニア、2020年1月(コロナ直前)以来のライヴはオールスターを集めて | 吉岡正晴のソウル・サーチン

吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002

レイ・パーカー・ジュニア、2020年1月(コロナ直前)以来のライヴはオールスターを集めて

 

(ネタばれ含みます。これからご覧になる方で事前に情報を見たくない方はご注意ください。来る来ない、迷われている方は、ご参考に)

 

 

【Ray Parker Jr. First Ever Live Since Corvid】

 

久々。

 

都内はお盆のせいで道も空いていて気持ちいい。さらにミッドタウンもかなり人がいない感じだ。だがしかし、このビルボードライブ東京は初日ファーストにも関わらず、熱気がすごい。40代、50代以降の昔からのソウル、R&B、ブラコン好きが集結している感じだ。

 

デトロイト出身のギタリストとして数多くのヒットでギターを弾き、また自身のヒット曲も多数あるレイ・パーカー・ジュニアが、2020年1月、コロナ直前以来約4年7カ月ぶりに来日、コンサートを行った。

 

レイとは、初来日時(1981年)にインタヴューして以来、クルセイダーズ/ジョー・サンプルのライヴなどでしばしば顔をあわせるようになったが、このところすっかりご無沙汰していたので、久々にライヴに参戦した。

 

今回は、ドラムス(旧知のドネル・スペンサー)、ギターにポール・ジャクソン・ジュニア、ベースにワン・アンド・オンリー、レディ・フレディー・ワシントン、サックスに日本にも住んでいるチャーリー・グリーン、そして、レイの盟友アーネル・カーマイケル。そして初めて来日が女性のアヴァ・スチュワートとキーボードのアンソニー(トニー)ハーディ。レイを含めて8人という大所帯のライヴ・バンドだ。

 

これがなかなかいいバンドで、やはり、リアル・ミュージシャンがプレイする打ち込みなしのリアル・ミュージックは何にも代えがたいものがある。

 

今回のライヴのセットリストは、これまでにレイ・パーカーがかかわってきた人たちとの作品などを中心に選んでおり、これもレイか、というくらいに驚く選曲だ。下記セットリストに、ヒットさせたアーティスト名を記してある。驚いたのは、レイがビル・ウィザースと仲が良くて、彼の代表曲「ラヴリー・デイ」で弾いていたということで、これをカヴァーした。そしてその流れで、ビルの「エイント・ノー・サンシャイン」をインストにして、披露した。

 

これは、ちょっと感激した。というのも、このビル・ウィザースのシングル盤は僕が初めて買ったソウルのシングル盤だったからだ。ビルのヴァージョンは2分ないほど、短い。だが、ここでは4分近くのインストにしたてた。

 

また今回のベース奏者はロスのファースト・コール、ベース奏者、フレディー・ワシントンだが、彼が書いた代表曲のひとつをやるといって、彼をステージ前に出し弾きだしたのが、「フォーゲット・ミー・ノッツ」。そして、歌うは、すでにここでシャカ、シェリル・リン曲を歌ってきたアヴァ・スチュワート。初来日で、初めてその歌を聞いたが、なかなかよかった。特にルーファスの「ユー・ガット・ザ・ラヴ」など、シャカに似せた歌い方がうまかった。

 

ライヴ後話を聞くと、デトロイトのEサイド(イースト)に住んでいて、デトロイトの住人でもあるアーネルの口利きで今回レイ・パーカーを紹介され、ツアーに参加することになったという。アーネルと知り合ったのもまだ2年前で、レコードというレコードはまだ出ていないという。I-tunesあたりで買えるのかと訊いたら、自信なさそうに、モゴモゴしていた。(笑)

 

彼女の立派なアフロ・ヘアについて、「それは地毛なのか、ウィグなのか」と尋ねたら、「それは答えられない」と苦笑された。

 

おもしろかったのは、下記セットリスト10から。「ちょっとブレイクだ」といって、ギターをアコースティックに持ち替え、スツールに座り、そのときの思いつきで、次々と曲をちょっとずつ歌う。最初に一番前にいた女性に「あなたの名前は?」と尋ねると、その彼女が「サチコ」と答えたので、その場で「サチコ、アイ・ラヴ・ユー」という曲を即興で歌った。さらに一人で、アコギでしばらく独り舞台。カントリー曲を歌ったり、スティーヴィーの「クリーピン」やトトの「アフリカ」をやったり、驚いたのはギルバート・オサリヴァンの「アローン・アゲイン」を比較的長く歌ったりした。このコーナーはまるでレイの自宅の居間あたりで、レイがパーティーに参加してくれたみんなの前で思い付きでギターで歌っているような雰囲気だった。レイのジュークボックスだ。

 

そして、一番驚いたのが、「ミスター・テレホン・マン」を歌いだし、この曲は19歳のときに書いた曲だが、歌詞が気に入らなくて、ずっと放っておいた。だが、あるとき歌詞を書き換えた。こんなふうに~」といって、同じコード進行から「ア・ウーマン・ニーズ・ラヴ」になだれ込んだ。そうか、「ミスター・テレホン・マン」と「ア・ウーマン・ニーズ・ラヴ」は同じコード進行だったのだ。

 

これだけ大ヒット曲に関わっていると、レイ・パーカーが関わった他のアーティストの曲をレイがカヴァーしたアルバムでも作ればいいのでは、と思った。ビル・ウィザースの「エイント・ノー・サンシャイン」なんか、いいインスト曲になっていた。

 

それにしても、今回のライヴはミュージシャンもよかったが、選曲がなかなか凝っていておもしろかった。リアル・ミュージシャンの打ち込みではないリアル・ミュージックの醍醐味をたっぷり味わえた84分であった。

 

~~~~

 

なんとライヴ中、一生懸命、やっている曲目やしゃべっていることを書いていたら、それが遠くから見られていたらしく、なんと松尾潔さんだった。ライヴ後一緒に楽屋に行き、しばし談笑した。松尾さんは、レイが持っていた「アメレイカン・スタジオ」を訪問したことがあるという。

 

(この項続く)

 

後列左から、フレディー・ワシントン、松尾潔、吉岡、ドネル・スペンサー、手前ーレイ・パーカー・ジュニア

 

~~~~

 

大阪は売り切れだが、他はまだ若干席があるようだ。

 

ビルボードライブ東京2024/8/13火-8/15木

https://www.billboard-live.com/tokyo/show?event_id=ev-15013

 

ビルボードライブ横浜2024/8/19月

https://www.billboard-live.com/yokohama/show?event_id=ev-15016

 

ビルボードライブ大阪 2024/8/17 土 完売

https://www.billboard-live.com/osaka/show?event_id=ev-15015

 

~~~~

 

■セットリスト  Setlist

(Transcribed by The Soul Searcher)

Ray Parker Jr. at Billboard Live Tokyo, 2024/8/13 first show

 

( ) denotes lead singer tonight

( ) denotes original artist who made the song hit

 

Show started 17:32

01      Jack And Jill (Arnell)

01.5 (Instrumental Jam)

02      You Can’t Change That (Ray + Arnell)

03      Put It Where You Want It (Crusaders) (Instrumental) (featuring solo by Paul, Charles, Ray, Donnell, Anthony) (a riff of Love Rollercoaster)

04      You Got The Love (Rufus/Chaka Khan) (Ava)

05      Got To Be Real (Cheryl Lynn) (Ava)

06      Maybe Your Baby (Stevie Wonder) (Darnell)

07      Forget Me Nots (Freddie Washington solo) (Patrice Russhen) (a riff of “A Love Bizarre” (Sheila E.)

08      Lovely Day (Bill Withers) (Chas + Ray)

09      Ain’t No Sunshine (Instrumental) (Bill Withers) (Chas on flute)

10      (change to acoustic guitar, Ray only) Acoustic Guitar Medley:

a)    “Sachiko, Aishitemasu”

b)    (country & western song) ??

c)    (c&w song)??

d)     Creepin (Stevie Wonder)

e)     Africa (Toto)

f)      Ben (Michael Jackson)

g)     Alone Again (Gilbert O’Sullivan)

h)    Mr. Telephone Man (New Edition) →

i)     A Woman Needs Love

11       A Woman Needs Love (with band) –extention to ”Shakey Ground”??

12  Ghostbusters –(Ray + all)  a riff of “Living For The City” (Stevie Wonder)

Enc  It’s Time To Party Now (Arnell)

Show ended 18:56

 

Members

 

Ray Parker Jr.(Gt / Vo)

Paul Jackson Jr.(Gt)

Donnell Spencer Jr.(Dr/Vo)

Charles Green(Sax/Vo)

Anthony Hardy(Key)

"Ready" Freddie Washington(Ba / Vo)

Ava Stuart(Vo)

Arnell Carmichael(Vo)

 

(2024年8月13日火曜、レイ・パーカー・ジュニア・ライヴ、ビルボードライブ東京、ファースト・セット)

 

ENT>LIVE>Parker, Ray Jr.