聴取感謝。~ジェームス・ブラウン未発表新曲「ウィ・ガット・トゥ・チェンジ」の誕生詳細~『ディスコ | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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聴取感謝。~ジェームス・ブラウン未発表新曲「ウィ・ガット・トゥ・チェンジ」の誕生詳細~『ディスコ・サーチン81』~『レディオ・ディスコ』

 

【Revealing James Brown Never-Before-Released New Song】

 

 

発掘。

 

ジェームス・ブラウンが1970年8月16日、マイアミ・クライテリア・スタジオで録音した未発表新曲「ウィ・ガット・トゥ・チェンジ」が2024年2月16日、デジタル配信でリリースされた。

 

すでにユーチューブ映像やスポティファイなどで3ヴァージョンが公開されているが、この曲ができた経緯などを詳細に紹介した。

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=JfQ1CN7rLVM

 

まず、この1970年の頭に、ジェームス・ブラウン・バンドのメンバーがボスのブラウンに待遇改善を求めてストをしたときに、ブラウンが旧メンバーを全員クビにしてしまい、ライヴでは、「シンシナティで見た若いバンドを連れてこい」といって、彼らをジョージア州のコンサート会場に当日、呼び出し、演奏をさせてしまったことがあった。ミスター・ブラウンはそのバンドが気に入り、しばらく彼らを新しいジェームス・ブラウンのバックバンド(JBズ)として雇い入れる。その中に、ベースの当時はまったく無名だったブッツィー・コリンズ、兄のフェルプス・コリンズなどがいた。このJBズの面々はブラウンの全米ツアーに帯同するようになった。

 

そんなツアーの一日、1970年8月16日、マイアミのハイ・アラーイ・フロントンという会場でコンサートをやっていた。いつでも曲のアイデアを思い付くとすぐに録音したがるミスター・ブラウンは、地元の有力スタジオ、クライテリア・スタジオをブッキング。ライヴ後かライヴ前に、2曲、バンドメンバーと録音することになる。

 

このとき録音されたのが、「アイ・ガット・トゥ・ムーヴ」という曲と「ウィ・ガット・トゥ・チェンジ」という曲。メンバーは次の通り。

 

ジェームス・ブラウン、ボビー・バード(ヴォーカル)

ダニー・ハッサン・ジェイミソン、クレイトン・チキン・ガンネルズ (トランペット)

ロバート・マキュロー (サックス)

フェルプス・キャット・コリンズ (ギター)

ウィリアム・ブーツィー・コリンズ (ベース)

クライド・スタブルフィールド (ドラムス)

ジョニー・グリッグス(コンガ)

 

そして、この未発表曲を発掘、発表したディレクター、ハリー・ワインガーによると、なんとこの曲は8トラックのレコーダーが使われたが、ジェームス・ブラウンはそのうちの5トラックしか使わなかったという。これはなかなか衝撃的な事実だ。

 

その5トラックの振り分けは次の通り。

 

1)ヴォーカル

2)ホーンズ

3)ギター

4)ベース&ドラムス

5)コンガ

 

という。

 

つまり名前とまとめると

 

1)ジェームス・ブラウン、ボビー・バード(ヴォーカル)

2)ダニー・ハッサン・ジェイミソン、クレイトン・チキン・ガンネルズ (トランペット)、ロバート・マキュロー (サックス)

3)フェルプス・キャット・コリンズ (ギター)

4)ウィリアム・ブーツィー・コリンズ (ベース)、クライド・スタブルフィールド (ドラムス)

5)ジョニー・グリッグス(コンガ)

 

3つも空いてるなら、ドラムとベースを分ければいいのに、あるいは、トランペットとサックスを分けてもよいのではないか、と思われるが、ミスター・ブラウンはそんなことおかまいなしで、5つもあれば十分、みたいな感じだったのだろう。

 

そして、ハリーの頭の中には1986年にリリースされたジェームス・ブラウンの未発表曲などをまとめた『イン・ザ・ジャングル・グルーヴ』に「アイ・ガット・トゥ・グルーヴ」が収録され、CDのエクステンデッド・ヴァージョンの編纂(2003年)に携わったときから、この曲の存在を知っており、ずっといいタイミングでリリースしたいとは思っていたそうだ。

 

そして、この2月、ジェームス・ブラウンのドキュメンタリー『セイ・イット・ラウド』(4部作)が全米放映されるにあたり、当初はこの曲もいれる話はあったようだったが、結局、使われず、その公開にあわせてリリースされた。

 

ほかにもっと未発表曲はあるか、と尋ねたところ、「いわゆるオルタナティヴ・テイク(既存曲の別録音盤)はあるが、この曲程未発表曲で完成度が高いものはあまりない」ということで、それでアルバム一枚になるかは微妙なところらしい。

 

いずれにせよ、個人的には、これが8トラックで録音され、しかも、そのうちの5トラックしか使われていなかったところが衝撃だった。

 

God job, Mr. Harry Weinger

 

■ラジコタイムフリー

 

https://radiko.jp/#!/ts/INT/20240224150000

 

■期間限定同録

 

「ディスコ・サーチン」(28分)

Disco Searchin #081 2024/02/24 (28 minutes)

https://soundcloud.com/soul_searcher/disco-searchin-081-20240224-28-minutes

 

番組全部

Radio Disco 2024.2.24. by DJ OSSHY | Mixcloud

https://www.mixcloud.com/OSSHY/radio-disco-2024224/

 

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チーム・レディオ・ディスコ

 

左からサヨコ、ディスコ・サーチャー、DJオッシー。吉岡が手に持っているのは、ハリー・ワインガー編纂のジェームス・ブラウンの4枚組CDボックスセット『スタータイム』と同じくハリーが編纂にかかわった『イン・ザ・ジャングル・グルーヴ』のCD

 

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