〇ソウル・マン安井さんを追悼する会
【Tribute Gathering To ”Soul Man” Mr. Yasui】
追悼。
1960年代にアメリカのソウル・ミュージックを日本で聞いている人は少なかった。情報も少なく、レコードもほんの一握りの輸入盤しか入ってこない。そんな中、1970年代初期から来日ソウル・アーティストのライヴには必ず顔をだしている人物がいた。当時は、今とは違って来日ライヴも年間数えるほどだったから、たいがいのソウル好きは、みなそのライヴ会場で顔をあわせることになった。
もちろん正式に挨拶することもなく、なんとなく顔を知っている程度ということが多いが、それでもなんかのきっかけで話をして意気投合したり、名刺などを交換して「知り合い」になっていく人もいる。
そうしたソウル好きのソウル・マンに安井信一郎さんという人がいた。僕もその存在を70年代から知っていた。正式に名刺交換か挨拶をしたのがいつかは正確には覚えていない。誰かの紹介だったのか。だが少なくともこの20年くらいはライヴ会場で会えば必ず挨拶をし、雑談をするようになっていた。
コットンクラブにパースエージョンズが来た時に、たまたま同じ日になり、サイン会のところでメンバーと安井さんと一緒に写真を撮ったことがある。写真はどこかにあるはずだ。
安井さんは、昔から行ったライヴのコンサート・チケットを保存していた。ただきちんと整理していたわけではなく、雑然と段ボールかなにかにいれていたという。ライヴのメモも一緒に保存していたそうだ。
しかし恐るべき記憶力で、誰それは、何年にどこそこでライヴをやったなどということを語れた。だから、何十年かぶりの来日アーティストがいると、僕も安井さんに電話をして、xxが前回きたのはいつでしたっけ、などと尋ねたりしていた。
そんな安井さんが、2014年4月28日奥多摩にハイキングに行き行方不明となった。山歩きが好きで、ちょくちょく一人で日帰りの山歩きをしていたという。おそらく、その山道のどこかで滑落したのではないかという。携帯の最後の電波も山中だったそうだ。
この情報は当時、彼を知る周辺で衝撃ニュースとなったが、安否がわからないため何も表に情報が出せなかった。
安井さんは1949年(昭和24年)8月頃の生まれ。2014年4月の時点では64歳だ。
それからはや5年。彼を知る有志が2019年5月6日(10連休最後の日)新宿ソウル・ジョイントに大集合して彼を偲んだ。珍しく鈴木啓志巨匠も顔見世。超ご機嫌で昔話に花を咲かせていた。
安井さんは独特のだみ声で、声が大きいので、どこにいても、彼がいるとわかる。一時期「てきや」(的屋)をやっていたというその風貌も個性的だったので、たぶん、ソウル・ライヴによく行く人は彼を見ればわかるだろう。
ソウル曲ばかり集めたCDをいれたジュークボックスを備えたソウルバーを高円寺でやっていたが、それも閉店。
オールド・スクールのソウル、サザン・ソウル系などがお好みで、その手のライヴは持っているレコードやCDを持参してアーティストのサインをもらう。
安井さんとも半世紀の仲の白川さんが音頭を取ったこの会の会場は、2001年11月に開店した新宿のソウル・バー「ソウル・ジョイント」。
僕も開店まもなくから行っている。
今年18周年となる。トイレの壁に飾られたソウルのCDのジャケ写は、きれいにカラーコピーされ、圧巻だ。「これ、オレが紙ジャケにして出したやつ」とトイレで熱弁の鈴木啓志巨匠。
この日は彼を知る人たちが集まったが、だいたいいつもよく顔をあわせる面々が集まっていた。まさか接点があるとは思わなかった若きYさんは、なんと安井さんにこの世界に引き入れられたという。
安井さん、安らかに。
(写真)
写真は2006年4月14日、渋谷オーイーストで行われたリーラ・ジェームスのライヴで。左から安井さん、リーラ、ソウル・サーチャー、写真を提供してくださった花田さん。今回の会にも参加。彼もまた安井さんにソウルの道へ引きずり込まれた一人。
上記ライヴのレポート
April 15, 2006
Leela James: Goddaughter Of Soul Is Here To Stay
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200604/2006_04_15.html
リーラ・ジェームス、4年ぶりの来日ライヴ~炸裂するソウル・エクスペリエンス
2010年07月01日(木)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10577334151.html
ENT>MUSIC>TRIBUTE>Mr. Yasui
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