〇大坂なおみの強さは本物か | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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〇大坂なおみの強さは本物か

 

【Is Her Strength For Real?  Yes It Is】

 

本物。

 

テニス選手、大坂なおみが2019年1月26日(土)オーストラリア・メルボルンで行われた4大大会のひとつ「全豪オープン」の女子シングルス部門でチェコのクヴィトヴァをセットカウントで2-1で下ろし、見事に優勝した。

 

これで4大大会、昨年8月の全米に続いて2連覇、同時にWTAランキング世界1位を獲得した。

 

 

26日は夕方5時半からテレビの前でまさに一喜一憂しながら観戦したが、スポーツの試合でこれほどまでに楽しみにした試合は久しぶりだった。昨年の全米は時差の関係で、途中からだったが、今回は試合が始まる前のウォームアップから見た。

 

第1セットもタイブレイクで取り、第2セットも0-40で3本のチャンピオンシップ・ポイントを握ったときには、こんなに楽勝に勝てるのかと思ったが、もう一山、ドラマがあった。

 

初対戦で、左利きのクヴィトヴァの外に逃げていくサーヴに苦労するだろうと予想されていたが、確かに第一セットではなかなかサーヴを返せなかった。それが第1セット10ゲームで、それまでかすりもせずにてこずっていたアドヴァンテージ・サイドからの横に流れるサーヴをついに捉えて、返すことに成功したのだ。このあたりで、相手のボールに慣れてきたようだった。この修正能力、学習能力はすごいと感じた。この時はポイントにつながらなかったが、続くタイブレイクの3ポイント目でクヴィトヴァの横に流れるサーヴィスを少し振り遅れ気味ながら、ダウンザラインに返しリターン・エースを取った。

 

そしてこの勢いで第一セットを取り、第二セットへ。ここでチャンピオンシップ・ポイントを3つも握りながら、クヴィトヴァに粘られ、結局ブレイクできずさらに、次のサーヴィスを許し、さらには自身がブレイクされ、第二セットを取られてしまう。

 

これは彼女が自分自身の精神年齢が「昨年が4歳、今年は5歳くらい(苦笑)」と話す、メンタルの若干の弱さかもしれない。

 

しかし、ファーストセットを取ったときの大坂は59連勝とのことで、そのジンクスは生きていた。トイレットブレイクを取り気を取り直し、第3セット、ワンブレイク・アップで最後、再度のチャンピオンシップ・ポイントを迎える。再び3本のチャンピオンシップ・ポイント。今回は自分がサーヴィスだ。一本返され、2本目で見事にサーヴィスを決め、優勝を飾った。

 

たぶん日本中の誰もが第二セット、チャンピオンシップ・ポイントを3本握ったところで優勝したと思っただろう。僕もそう思った。それが違った。

 

しかし、彼女の強さは、結局、あの3本を取れずに、一瞬、流れを相手に渡したにもかかわらず、再度、気分を入れ替え、取り返したところにある。

 

今回の試合を見て、第一セットの最後で相手のサーヴィスに順応したその順応力、そして、少し落ちかけた運、流れを第三セットで取り返した精神力がすごいと思った。この強さは本物だ。

 

大坂も見事だったが、相手のクヴィトヴァもすばらしかった。トータル3セットのポイントは大坂の116に対し、クヴィトヴァは112。たった4ポイントしか離れていない。互角、対等の勝負だったのだ。

 

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横綱相撲。

 

前回の全米の時に、一試合ごとに強くなっていると感じたと書いた。そして、今回もときにそのように思ったが、それよりももっと彼女の「横綱相撲」の雰囲気を感じ取った。彼女が女王で、対戦相手が本当にチャレンジしてくる感じなのだ。この空気の違いには驚いた。前回の全米オープンの優勝が、他の選手たちにそう思わせたのだと思う。

 

 

そして、第二セットを落としながらも第3セットを取ったあたりの強みは、まだまだ発展途上にある、もっと強くなること間違いない。

 

昨年9月にグランドスラムの残り3つのタイトルとランキング1位のどちらが先に来るか興味がある、と書いた。なんと、1位があっという間に来た。これは予想外の速さだった。

 

そんな大坂は1997年10月16日大阪生まれのまだ21歳。これまで生涯で4大大会で優勝した女子グランド・スラマーは9人。もし今年全仏、全英を取ると21歳で4大大会のトロフィーを集めることになる。

 

気がはやりすぎると言われればその通りだが、次は全仏(2019年5月)。ハレプ(1991年生まれ)あたりと決勝戦か、そしてその後のウィンブルドン(全英)では今回の対戦相手、クヴィトヴァ(1990年生まれ)、あるいは、ケルバー(1988年生まれ)あたりとの決勝戦になるのだろうか。特に全英を2度取っている、いわば芝生を得意とするクヴィトヴァとのリヴェンジとなれば、これは世界中のファンが熱狂するだろう。このままいけば、大坂が第一シードで、クヴィトヴァが第二か第三シードであれば、決勝での対決になる。その前に当たらないことを祈るばかりだ。

 

いずれにせよ、こうした中では大坂は一番若い。若さと精神的な成熟は表裏一体。果たして、このまま全仏、全英とバタバタと取ってしまったら、本当にすごいことになる。大坂王国が本物になる。

 

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大坂なおみのヴィクトリー~今後10年は続く「大坂王国」の始まり

2018年09月10日(月)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12403840739.html

 

2018年9月14日16:30 -のツイート

 

大坂なおみさん @Naomi_Osaka_  WTAランク現在7位だが、1位になるのとグランドスラム残り3つ(全豪、全仏、全英)を取って「生涯グランドスラム」を達成するのは、どちらが早いかに興味があります。1位のハレプとは4千点差。1位の方が先かなあ。2020年はこれに五輪が加わる。

 

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■テニス関連記事

 

フェデラーとロディックのソウルの戦い~ウィンブルドン男子決勝

2009年07月07日(火)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10295033252.html

 

テニス関連では、1999年フレンチ・オープンのグラフ対ヒンギスの試合が劇的でした。

 

『勝利の女神の優柔不断』

~フレンチ・オープン1999・女子シングルス決勝戦~

http://www.soulsearchin.com/sports/french199906.html

 

ENT>SPORTS>TENNIS>Osaka, Naomi

 

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