〇今年のグラミー・モーメント | 吉岡正晴のソウル・サーチン

吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002

〇今年のグラミー・モーメント

 

【This Year’s Grammy Moment】

 

モーメント。

 

2017年2月12日ロスのステイプルズ・センターで行われた第59回グラミー賞授賞式。3時間半におよぶ一大エンタテインメント・ショーにおける恒例ソウル・サーチャーが選んだ「グラミー・モーメント」。

 

1.    ビヨンセのパフォーマンス

 

これは出だしから曲途中、ダンサーを使ったすべてが圧巻。映像とマッシュアップし、映像とリアルなダンサーたちとの動きがリンクし、完璧なショーを繰り広げた。ビヨンセといえば、これまでは激しく踊る「動」のイメージが圧倒的だったが、今回は、双子を妊娠していることもあってか、また新作がメッセージ色の強いものであるせいか、「静」のイメージだった。これはこれで、また大変な存在感を見せた。唯一心残りは彼女が「アルバム・オブ・ジ・イヤー」を取れなかったこと。次作で狙ってもらおう。

 

2.    ア・トライブ・コールド・クエストらのパフォーマンス

 

ひじょうにメッセージ色の強いパフォーマンスで、対トランプへの色合いが濃かった。昨年もそうだったがヒップ・ホップがこの地点まで来て、それをこの白人多数のグラミーの席上でやるというところに隔世の感がある。アンダーソン・パーク、バスタ・ライムスらもかけつけた。「ウィ・ザ・ピープル」は強烈なメッセージ。

 

3.    プリンス・トリビュート~ブルーノ・マーズのパフォーマンス

 

タイムをバックに従えたプリンス・トリビュート。特に3曲目「レッツ・ゴー・クレイジー」にでてきたブルーノ・マーズは圧巻だった。プリンス風衣装と、わざわざアイラインまでしたような、ちょっとリトル・リチャードを思わせるような雰囲気も最高だった。もちろん、タイムがいてのブルーノということでもあった。

 

4.    アデルのジョージ・マイケル・トリビュートのやり直したところ

 

これは驚いた。アデルは一度「ファースト・ラヴ」を歌い始めたが音程が取れなかったためか、音を外した。そこで途中で、「ごめん、もう一度頭からやり直していい?」と言って、頭からやり直したのだ。生放送、しかも全世界向けのものでやり直すのはさすがに勇気がいるだろう。そして、やり直した後もアデル本人は不満げというか、悔しそうだった。アデルは昨年も、歌っている最中にピアノの弦にマイクが落ち、ノイズが出てしまった。生ならではのハプニングだが、アデルにとってはひじょうに気の毒なことになった。しかし、やり直したことを評価したい。

 

ちなみに、レディー・ガガとメタリカのコラボのところでも、メタリカのマイクにトラブルがあったようだ。

 

5.    ニール・ポートナウのスピーチ

 

例年グラミーの中では、「トイレ・タイム」などと揶揄されるNARASのニール・ポートナウ会長のスピーチ。今年は、トランプ政権になり、音楽業界、芸術の世界への危機を感じ取ったためか、表現の自由への強い姿勢が感じられ、骨のあるスピーチになった。

 

「いつでも私たちを分断するものがあります。人種、宗教、性別、性的嗜好、政党。しかし、私たちをひとつにするためにもっとも必要なものは、歴史や共通の価値観を共有し、私たちが完璧な統合を実現させるために献身しなければならないということです」

 

「かつてジョン・F・ケネディーがこう言いました。『芸術の神髄(命)は国家の目的と近いものがあります。そしてそれは国家の文明の質の試練に立たされます』 その通りです。だからこそ、我々は音楽と芸術を作り出す人たちを支持し続けなければならないのです」

 

6.    ジョン・レジェンドとアリシア・エルヴォの「ゴッド・オンリー・ノウズ」

 

ニール・ポートナウのスピーチからのこのジョン・レジェンドたちの「ゴッド・オンリー・ノウズ」はなかなかの構成だった。ここで、過去一年の物故者が写真、ビデオなどにまとめられ、その前後をジョン・レジェンドらが歌った。

 

曲はビーチ・ボーイズのカヴァー。こんな歌詞。

 

God Only Knows 

 

I may not always love you

But as long as there are stars above you

You never need to doubt it

I'll make you so sure about it

 

God only knows what I'd be without you

If you should ever leave me

Though life would still go on believe me

The world could show nothing to me

So what good would living do me

 

God only knows what I'd be without you

(God only knows what I'd be without you)

If you should ever leave me well life would still go on believe me

The world could show nothing to me

So what good would living do me

 

God only knows what I'd be without you

(God only knows what I'd be without you)

 

God only knows

God only knows what I'd be without you

God only knows what I'd be without you

 

God only knows

God only knows what I'd be without you

God only knows what I'd be without you

 

God only knows

God only knows what I'd be without you

 

Songwriters: WILSON, BRIAN DOUGLAS / ASHER, TONY

God Only Knows lyrics © Universal Music Publishing Group

 

弔辞的な歌という第一義的なものもあるが、様々な解釈もできる。たとえば、このyouが「国」であったり、「自由」であったり、「平等であること」だったりを示唆し、昨今のトランプの姿勢に対してのメッセージとも受け取れる。

 

7. ニール・ダイアモンドを呼び込んでの「カー・プール・カラオケ」

 

これはちょっとおもしろかった。今年の司会者、ジェームス・コーデンの十八番となっている「カー・プール・カラオケ」風の演出で客席にいるアーティストたちを呼び込み、その中にニール・ダイアモンドがいたことから彼の代表曲「スイート・キャロライン」をみんなで合唱したシーン。このキャロラインは、先日まで日本の米国大使を務めていたキャロライン・ケネディーを歌った曲。つまり、ケネディー大統領の娘である。これはケネディー賛歌でもあるのだろうか。あるいは他意はないのかもしれないが。

 

8.    セリーヌ・ディオンが発表した「ソング・オブ・ジ・イヤー」の勝者宣言までの間

 

ショーも佳境に入り、最近夫を亡くしたセリーヌ・ディオンが「ソング・オブ・ジ・イヤー」を発表した。しかし、「グラミー・ゴーズ・トゥー~~~」からの間がずいぶんと長かった。なんであんなに間を取ったのだろう。でも、それがよかった。そしてセリーヌは『アデルの「ハロー」!』と叫んだ。

 

~~~

 

過去のグラミー・モーメント

 

グラミー・モーメント~圧巻だったケンドリック・ラマ―

2016年02月17日(水)

http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20160217.html

 

第57回グラミー・モーメント~ファレルの主張とキング牧師への賛歌

2015年02月10日(火)

http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20150210.html

~~~

 

今年のグラミーを振り返るイヴェント、明日2月15日水曜日に。グラミー・ファン、洋楽・ファンの方はぜひ

 

~~~~

 

「ソウル・サーチン・ラウンジ」次回2017年2月15日水曜開催ゲストに阿多真人さん決定~グラミー詳細分析

 

■「ソウル・サーチン・ラウンジ」イヴェント概要

 

            概要

 

タイトル 「吉岡正晴のソウル・サーチン・ラウンジ #17」グラミー詳細分析

 

日時 2017年2月15日(水)第一部=19時30分~20時30分、第二部=21時~22時 (入れ替えなし、通しでお楽しみいただけます)

場所 カブキラウンジ

住所 東京都新宿区歌舞伎町 1-23-13 TC大滝ビル5階 (1階は出会いカフェ・キラ)

電話 03-6205-5125

入場料 2000円(1ドリンク付き)当日、現地でお支払いください。

出演 吉岡正晴

ゲスト 阿多真人 (洋楽全般、グラミー賞ウォッチャー)

 

サポートDJ OSA

http://kabukilounge.tokyo/

座席数 約30

 

予約方法 下記メールアドレスへ「ソウル・サーチン・ラウンジ」参加希望と書き、参加人数、お名前、連絡先などを明記してお送りください。折り返し、確認メールを差し上げます。なお、携帯メールなどで受信ドメイン指定をされている方はsoul_searchin_lounge@yahoo.co.jp からのメールを受信できるように設定してください。予約なしでも入れますが、予約をいただけば優先的にお席を確保いたします。

予約メール送り先 

soul_searchin_lounge@yahoo.co.jp

 

 

ENT>AWARD>GRAMMY>59 (Final)