【Charles Brinkley & Fully Guaranteed’s “I’ll Be What You Want Me To Be”】
レア曲。
昨日(2016年4月3日日曜)の『山下達郎~サンデイ・ソングブック』で、懐かしいレアな曲がかかって久々に感動したので、ちょっとその思い出などを。
それはチャールズ・ブリンクリー&フーリー・ギャランティード(Charles Brinkley & Fully Guaranteed)の「アイル・ビー・ホワット・ユー・ウォント・ミー・トゥー・ビー I’ll Be What You Want Me To Be」という曲だ。アーティスト名も長ければ、曲名も長く、DJ泣かせの一曲だ。
曲はこんな感じ。
Charles Brinkley & Fully Guaranteed - I'll Be What You Want Me To Be (Music Machine)
https://www.youtube.com/watch?v=uVxgTGoqy1Y
これはレコード・プレイヤーのスピーカーから出てる音を録ったもので音は悪いが、まあ、なんとか雰囲気はわかる。
「こんな曲をリクエストしてくるほうもしてくる方だが、かけるほうもかけるほう」(山下達郎・談)なレアな1曲。これはこの日かけた次の曲かなにかで放った一言だったが、ま、どれも同じようなもの。(笑)
これを入手したのは1974年終わりか1975年だと思うが(調べれば正確な日付はわかる)、このバスドラの音が印象的であることと、ファルセットとバリトン・ヴォイスの掛け合いが見事で、ちょっとテンプテーションズの絶頂期を思わせる出来でものすごく気に入っていた。
1975年1月からソウル・チャートにもちょっとだけ(5週間)入り81位を記録。とはいっても、まあほとんど全国的なヒットになってないから、今では誰も知らない1曲と言っていいだろう。
7インチ・シングル(17センチシングル盤、ドーナツ盤)しかなく、もちろんアルバムもない。自分で輸入してあちこちに卸した。当然CDもないと思う。当時は何もわからないグループだったが、ジョージ・トービン(George Tobin)がプロデューサーとしてクレジットされていた。彼は白人だが、後に1987年にティファニーを全米で大ヒットさせる。ほかにスモーキー・ロビンソンの作品などもプロデュースする人物だが、この頃は彼もまったく無名だった。
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フラッシュバック。
この曲はバスドラの音が強いので、ブルー・マジックの「サイドショー」のような超どスローではなかったので、チークタイムにはかけづらいものがあったが、スロー明けに当時レギュラーDJをしていた六本木のエンバシーでよくかけていた。スロー明けにかけると、そのままブラザーたちはスローでチークを踊る場合もあれば、少しリズムに乗ってダンス曲として体を揺らすブラザーもいた。
だから、この曲が流れると、僕はあの六本木のエンバシーの暗いダンスフロアのことが瞬時にフラッシュバックされる。たしか、DJブースを牢屋のようにデザインして、DJの前に鉄格子が何本かレイアウトされている時期のエンバシーだったような記憶がある。
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(このイメージで作ったらしいが、こんなに網はなかった。ただ3本か4本鉄格子があっただけ、その鉄格子の間も何もないので、手を伸ばせば、握手もできた)
何度かかけるうちに、お客さんもこれを覚えるようになり、チークでみんな踊るようになった。
ある週末の夜中だった。いつものようにこの曲をスロー明けあたりにかけていたら、その鉄格子の向こうから一人の若いブラザーが声をかけてきた。
「ヘイ、DJ、これ、僕が歌ってるんだよ」
「ええええっ????」
こんなレアなシングルの歌い手がいま、僕の目の前にいるの? さすがに驚いた。DJをやりながら、やりとりをした。
それによると、なんでも、彼はその当時、ビーン・ブラザーズという名前のグループで箱バンドとして来日していて、その日はオフだったか、仕事終わりだかにエンバシーに来ていた。きっと、彼も驚いただろう。全米でもほとんどヒットしていない曲が、極東の小さなディスコでかかっていたのだから。ビーン・ブラザーズがやっていたのは六本木のロア・ビルの上のディスコだったと思う。
そこで、後日そのロア・ビルのディスコに行き、ゆっくり話した。たぶん、1日3~4セットやっていたと思うが、ほとんどが当時のトップ40ヒットもので、おなじみの曲のカヴァーばかりをやっていたので、この「アイル・ビー・ホワット…」はレパートリーにはいっていなかった。
声をかけてきた彼の名前が今思い出せないのだが、たぶんこの曲のファルセットのほうのシンガーだったと思う。
確か、ビーン・ブラザーズだった彼らが、チャールズ・ブリンクリー(おそらく太い声のほう)がリードとなり、グループ名を変えた。
で、そんな経緯を当時寄稿していた「ソウル・オン誌」に書いた。ちょっとそれがいま手元にないのだが、レコード・レヴューが載った後の号に1ページか2ページでこのインタヴュー記事のようなものを書いた気がする。たぶん、1975年のどこかの号だった思う。どなたかお持ちの方、画像アップしてください。(笑)
(ソウル・オンやアドリブはみんなトランクルームにいれてしまってて、すぐ手元にでないんです)
しかし、日曜の昼の2時台にこんなレアな曲がかかる『サンデイ・ソングブック』、すごい番組だ。そして、そんなレアな一曲は瞬時に40年以上前の、暗くて、煙い、そして、ちょっと怖いエンバシーの空気感を思い出させてくれた。リクエストしてくれた方もありがとう。
ESSAY>Embassy
ESSAY>MUSIC>Brinkley, Charles & Fully Guaranteed
RADIO>Sunday Song Book