◆口の中で広がるビター・スイート・ソウル~西麻布・青柳の至福の苺大福  | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◆口の中で広がるビター・スイート・ソウル~西麻布・青柳の至福の苺大福 

【Strawberry Daifuku : One & Only Bitter Sweet Soul】

苺大福。

1月になると季節は苺。そういえば、キャピトル東急オリガミの苺フェア(ストロベリー・フェアもそろそろかなと思って調べたら今年(2014年)は、1月15日(水)から3月31日(月)までだそう。

http://www.capitolhoteltokyu.com/ja/restaurant/shop03/plan/1301603248811.html

ま、余談はさておき。西麻布・青柳。


外観と中にある立派な看板

(2014年1月)10日の苺大福初売り出しを逃してしまい失意のどん底に落ちたが翌日11日に予約して買いに行った。喜び勇んで12時くらいに行きますと電話では言っていたが、車がすいていたこともあり、11時45分くらいに着いた。そうしたら、今作っているので20分か30分くらい待ってください、とのこと。じゃあ、待たせていただきます、ということで、お店のおかあさんと他愛ない話をすることになった。

この青柳は1964年(昭和39年)創業だそう。ということは今年50周年ということになる。オリンピックの年に始まったが、先代は別の家業をやっていたが、戦後は食べ物の店をやったほうがいいということで、西麻布(昔の霞町)の交差点すぐそばの六本木通り沿いで間口1間(約1.8メートル)奥行き8間といううなぎの寝床のような店を構えてやっていたという。それが、東京オリンピックの道路整備で六本木通りが拡張されることになり、店が立ち退きとなった。そのときには、そこには本屋、酒屋、牛乳店、肉屋などが並んでいたが、みな移動。青柳さんは六本木通りからちょっと入った現在地に移った。

和菓子職人のご主人が作る苺大福は格別。今では80歳を超えてしまって体力的に毎日はきついので週3日(火曜、金曜、土曜)のみの営業となった。しばらく前までは水曜もやって週4日だった。

「いい苺がないと作れないんです。苺大福は、苺と皮のお餅と餡子(あんこ)のバランスがよくないとだめなんです」 というわけで、青柳の苺大福、今年は1月10日から3月いっぱいくらいまでだそう。苺大福を出す火・金・土は毎朝渋谷に苺を買出しに行き、それから午前中で作るという。初日の金曜(1月10日)は100個を作り、開店から2時間で売切れてしまったという。僕が4時過ぎに電話しても、ぜんぜん話しにならない。(笑)

土曜日は80個しか用意できなかったという。(すいません、そのうち20個買ってしまいました(笑) シェア25パーセント、買占めに等しいか)

栃おとめ。

青柳の苺大福は、とちおとめが丸々一個入っていて、大きな口をあ~~んとあけて、一口で食べるしかないと思う。結局は2回に分けて食べることになるのだが。その場合、いかに苺のジュースをこぼさないかが大きなポイントだ。口の中で苺のジュースがとろっと出てきて、そこに餡子と薄めのお餅のハーモニーが広がる。苺のちょっとすっぱさと餡子の甘さ、つまり、ビター・スイートが同時に鳴るのだ。


二つにわると綺麗な栃おとめが。ごっくん

この青柳には以前、おっとりした猫がいて、まるで店の置物のように鎮座していたが、最近見かけないなあと思ったら、その先代の猫はしばらく前に亡くなり青山墓地に寝ているという。現在の猫はまだ若い姉妹で、一匹がお店のお菓子(特に魚系のもの)を食い散らかしたことがあり、以来、奥に置いて店には一切出さないことにしたそう。

店の片隅に立派な伊万里焼・有田焼の皿がいくつも飾られていた。ご夫妻の息子さんが佐賀で焼き物をやっていて、伝統工芸士の資格を持ち活躍されているという。ただ、自分の作品に思い入れが強く、どれも売らないそうだ。現時点ではすべて展示のみだそう。


これらは非売品

また、ここで売られている「ジュリエット・グレコ」という和菓子は、デザイナーの三宅一生さんの発案で、ご主人がグレコのレコードを聞きながら創作した作品だという。これがたいそうお気に入りとなり、この名前で売り出しているという。

しかし、苺大福、週3日しか買えないっていうのが、レア感いっぱいだ。至福の苺大福。苺大福の至福。


最後にお二人に写真をお願いしたところ、快く応じていただけました。いつもおいしい苺大福ありがとうございます

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ところでこの苺大福というもの自体、新宿・曙橋の和菓子店「大角玉屋」が発祥だと読者の方から教えていただいた。調べてみると、同店で1985年2月に初めて発売されたそうだ。そのあたりのお話はまた後日。

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苺大福以外にも季節に応じて様々な和菓子があります。苺大福は190円。

西麻布・青柳
東京都港区西麻布2丁目14-4
03-3400-4598
毎週・火曜・金曜・土曜の3日のみ営業。11時半くらいから7時まで。
(西麻布交差点を六本木通り沿いに渋谷方向に向かい、すぐの最初の角(T字路)を右に、30メートル行った左側)

http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13034764/

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