混迷 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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(昨日からの続き)

【「幸運な息子」(フォーチュネイト・サン)物語(パート2)】

混迷カエルとかげ

ジョン・フォガーティーは、この曲についてこう語っている。

「これはニクソン(大統領)と自分の戦いのようなものなんだ。つまり、権力を持つ者、すべてをもっている者たちとの対決だ。ワシントンに住む連中に対して、僕は大きな車に乗っていて、とても尊敬できるような連中ではない、ネガティヴなイメージを持っていた。ヴェトナム戦争のとき、(人は行かせるのに)自分たち自身は戦争に行かないような連中だ。ドゥワイト・アイゼンハワー(大統領=34代)の孫デイヴィッドのことを思い浮かべていた。彼はニクソンの娘ジュリーと結婚していて、彼らはいかにも金持ちの家のおぼっちゃま、おじょうさまのようだった。

いずれにせよ、最初にバンドにこの曲を聴かせたときはまだほとんど歌詞はできていなかった。コード進行とエネルギーとタイトルの『フォーチュネイト・サン』があったくらいだ。

そして、ベッドルームにいって、フエルトペンでレポート用紙に歌詞を書き始めた。すぐに、it ain’t me, I ain’t no fortunate son(俺じゃあない、俺は幸運な息子、恵まれた息子じゃない)というフレーズがでてきた。心の中で叫んでいた。声にはださなかったが、3ページにわたって(歌詞を)書いた。ほんの20分くらいで全部書けたよ。

まさに、ニクソンがインスピレーションを与えてくれた作品だ。彼は『名誉ある平和』『わが国を、愛するか、去るか』なんてことを言っていたが、今やこの男がまちがいなく悪魔だったことをみんな知っている」

「1969年当時、国民の8割は戦争肯定派だったんだ。だが、事実を注意深く見守っている連中は、まちがいなく大きなトラブルに向かっていると考えていた。僕はニクソン支持でもなかったし、政治家の息子たちが戦争に行かないことも知っていた。僕はその頃23歳で、なんでもない普通の若者たちは、彼ら自身が戦争反対の考えをもっていても戦争に行かなければならないのに、権力者の息子たちはそんなことすら考えなくてよかったんだ。彼らは恵まれていたよ、幸運だったんだ。そういう連中は「(戦争は)アメリカのためになる」と言っていたが、その子供は誰一人戦場には行っていない」(コメントは、クリーデンスの非公式バイオ・ブックに掲載されたジョンのもの)

戦争肯定派と反戦派。それぞれが入り混じった1969年。混迷の時代の傑作だ。

というところで、「フォーチュネイト・サン」の訳詞を「ダイ・ハード・ヴァージョン」でやってみました。(冒頭の4行の部分は、ダブルミーニングです)

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Fortunate Son (John Forgerty)
フォーチュネイト・サン(ダイ・ハード・ヴァージョン訳詞)
訳・ザ・ソウル・サーチャー
(オリジナルの歌詞は7月19日付けにあります)

生まれながらに愛国心いっぱいの連中がいる
(生まれながらに国旗を振るのが大好きな連中がいる)
共産主義者でも、保守派でも、無党派でも
(その星条旗の色は赤、白、青)
バンドが『ヘイル・トゥ・ザ・チーフ』(大統領のために演奏する楽曲。チーフ=大統領に忠誠を、といった意味)を奏でるとき、国は実はおまえに大砲を向けてくるんだ、神様

俺は違う、俺は国会議員の息子なんかじゃない
俺はぜんぜん恵まれてない、俺は世界一運のない男

金持ちの家に生まれる連中もいる
奴らを助けることなんかない
税務署が(金持ちの家に)来たときは、家は投売り後のようにもぬけの殻さ

俺は違う、俺は大金持ちの息子なんかじゃない
俺にはツキがない、俺は世界一運のない男

熱烈なアメリカ愛国の魂を持った連中がいる
でも、そんな連中はおまえたちを戦場に送り込むだけ
国民がどれだけ(戦場に)人を送ればいいかと尋ねれば
彼らは答える。「もっと、もっと、もっと(多くの国民を)」と。

俺は違う、俺は軍人の息子じゃない
俺にはツキがない、俺は世界一運のない男

俺にはツキがない、俺は世界一運のない男
ツキがない、俺は世界一最悪の、不幸の星の元に生まれた男なんだ

(訳・ザ・ソウル・サーチャー)

■「フォーチュネイト・サン」収録のCCRの傑作アルバム、通算4作目『ウィリー・アンド・ザ・プア・ボーイズ』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000000XCF/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>MUSIC>SONG>Fortunate Son
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ENT>MOVIE>Die Hard 4.0