余韻 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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【デイヴィッド・Tの夜は更けて】

余韻ギター流れ星

デイヴィッド・Tの初日を見た後、気分は相当デイヴィッド・Tになった。ちょっとソウルバーでも行って、デイヴィッドの余韻を楽しまなければならない。そこで思いついたのが、ちょうどライヴ会場であった川畑さんのミラクル。そういえば、デイヴィッドがいたバンド・オブ・プレジャーのライヴの仕切りを川畑さんがやっていたのを思い出した。川畑さんとデイヴィッドも旧知の仲だ。

赤坂・ミラクルに到着すると、なんとすでに、DJキヨミさんがデイヴィッドをかけていた。わからなかったセットリストを川畑さんらと話していると、バンド・オブ・プレジャーからの曲や、別のアルバムからのものもやっていたことが判明。「サイドウォーク」や、「ウォーク・ディス・ウエイ」(エアロスミス、ランDMCとは同名異曲)、「プラム・ハッピー」など、僕にとってはあまりなじみのない曲をかけてもらう。

ジャケットもすっかりよれよれになり、しかし、しっかりデイヴィッドのサインがマジックで書かれた『サイドウォーク』は、彼の1967年の作品だ。1967年は、彼がまだ26歳のとき。音自体もおそらく4チャンネルか8チャンネルくらいで録音されたチープなものだが、ギタープレイがまだ若い。やはり、ギタリストも26歳のプレイと65歳のプレイでは違うのだなあとつくづく思った。味わい、成熟、熟成、さまざまな言葉が思い浮かぶ。

他にほとんどお客さんもいなかったので(ラッキー!)、次々とキヨミさんがデイヴィッドものばかりをかけてくれる。そうこうしているうちに、川畑さんが、秘蔵映像を蔵出し。そう、デイヴィッド・マニアならみなさんご存知の1993年7月28日に渋谷オンエアで行われた『クーリン・グルーヴィン』のライヴ映像だ。ここに、「ホワッツ・ゴーイング・オン」が入っているのだ。これを音をだしつつ、見せてくれた。

僕はこの映像のことを知らなかったので、狂喜乱舞。しばらく前にライヴで見た「ホワッツ・ゴーイング・オン」とは、かなり違う。どちらかというと、レコード盤でのアレンジに近い。このときのメンバーは、ドラムスにバーナード・パーディー、ベース・チャック・レイニー、サックスにルー・ドナルドソンらものすごいメンバー。レア・グルーヴなどが人気となっていた時期で、日本の企画でこのバンド・プロジェクトが実現したそうだ。ここでのデイヴィッドは、ずっと立ったまま演奏していた。

この映像は一時期DVDでリリースされたが、現在、カタログとして残っているかは不明。中古は探せばあるかもしれない。

川畑さんが振り返る。「いつだったか、突然、彼(デイヴィッド)がうちの店にやってきてね。びっくりしたんだよ。そしたら、ドリカムで来日してたんだって。僕もぜんぜん知らなかったんで、驚いたよ。彼は12時にはホテルに戻って寝るからねえ。今回は、(ライヴの終わりが)遅いから、(うちの店には)来ないんじゃないかな(笑)」

ミラクルに来る前、デイヴィッドがサイン会を始めたとき、ちょうど持っていった紙ジャケ3枚のうち2枚にサインをもらった。そのとき初めて日本に来たのはいつですか、と尋ねた。すると「1967年、モータウンのマーサ・リーヴス&ヴァンデラス、スティーヴィーたちとのときだ」との答え。おおおっ、あれですか。テンプテーションズが、日本は戦争やってるヴェトナムと近いから行くのはいやだといって来なかったといううわさの。

ということは、2007年は、デイヴィッド・T・ウォーカー、初来日40周年ということも言えるではないか。あるいは、来年はソロ・レコード・デビュー40周年ということにもなる。僕は、FENの『ローランド・バイナム・ショウ』のテーマであなたの「ホワッツ・ゴーイング・オン」を知りファンになりました、といった話をした。その話をするのは、きっと僕だけではないのだろう。そういえば、僕の記憶の中でもっとも古くに彼のライヴを見たのは、1982年のクルセイダーズだったと思う。ところで、彼の来日履歴をコンプリートに知りたいものである。ウエヤマさん、ディスコグラフィー同様お願いします。(笑) 

DVDが「ホワッツ・ゴーイング・オン」からそのまま流れ、デイヴィッド・Tの夜は、更けていく・・・。

■デイヴィッド・T関連記事

May 11, 2007
David T Walker Live: Real T Sings, Crying, And Talks
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_05_11.html

May 12, 2007
David T’s Fingers Are So Sexy: DVD Shooting Will Be Held On Sunday
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_05_12.html

■David T.Walker のアーティスト表記はデビッド・T、デイビッド・T、デヴィッド・T、デイヴィッド・Tなどいろいろあります。ソウル・サーチンでは、「デイヴィッド・T・ウォーカー」を使用します。

■訂正 昨日の日記で、DVD収録日を5月13日・日曜としましたが、収録は5月12日・土曜日でした。お詫びして訂正します。なお、昨日分の日記は訂正しておきます

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