昨日はプライベート講座を終えて、

冷たい雨の中

急いでコンサートホールへ。

 

母とフジコ・ヘミングのデュオコンサート。

 

 

コンサートの直前に聴力を失うなど、
多くの困難を乗り越えて
90歳を超えた今も各地で演奏活動をするフジコさん。

(⇒ ネット上の言葉をうのみにして90歳と書きましたが、87歳だそうです。お詫びして訂正します・・ネット上には、年齢は公開していないというものもありましたが・・、まあ80歳はゆうに超えていることだけは確かです。すみません)

 

キラキラパンツに派手派手ガウンを羽織って、
手押し車でピアノの前にたどり着く。

 

「みなさんようこそ、
魔法使いのおばあさんみたいでしょ」と
低い声でささやく。

 

魔女の手がふれた途端に
ピアノから色鮮やかな音たちが解き放たれる。

 

時に雄弁に、時に優しく。
 

繊細かつ饒舌なピアノさんのおしゃべり。

 

不遇の時代、
「私の居場所は天国にしかない」、
と言ったそうだけど、
天国の住民にしか奏でられない
清らかな音色。

 

ショパンの「英雄」や「革命」ポロネーズやなど
パワフルな演目中心のソロ。

 

全盛期ほどの迫力はなくなったけれど、

それを補って余りあるすごみと深みのある演奏。


年を重ねてこそ奏でられる調べなのかな。

 

十八番のラ・カンパネラは、
それでもやっぱりパワフルで圧巻でした。

 

息することを忘れるくらい
自然に体が前のめりになって
聴き入ってしまう。

 

 

前半のソロも
想像通り素晴らしかったけど、

 

後半はバイオリンのデュオで、
こちらが良い意味で期待をはるかに上回る素晴らしさでした。

 

孫以上に年の離れた
ヴァスコ・ヴァッシレフとの共演。

 

天まで届くような清らかなバイオリンの音色に、

会場はみんなうっとり。

 

彼のソロも素晴らしかった。
 

曲の合間にフジコおばあちゃんの
肩を軽くもむように
いたわる姿も何だかうるうる。

 

 

音楽ってやっぱり素晴らしい。

 

芸術って本当に、

その人そのものがダイレクトに現れる。

 

技術だけでなく、生きざまも問われる。

 

それでもどこまでも、

技術の研鑽があってこそ実現する仕事。

 

 

実はどんな仕事にも共通するけれど、

アーティストとアスリートはその最たるものかも。

 

だからこそ、

死ぬほど愛して

やまないものじゃなければ、

続かないんだろうな。

 

 

会場限定版のCD、母にねだられたので買ってみた

 

樹木希林さんもそうだけど、
フジコさんのような、すごみのある
おばあさん

本当にかっこいい。

 

憧れずにはいられない。

 

30年くらいかけて、

どこまで近づけるかな。