野党第1党の中道改革連合が「解体・消滅」の危機に瀕している。

中道、立憲民主党、公明党は8月31日午後、国会内で行った中道の小川淳也代表、立憲民主党の水岡俊一代表、公明党の竹谷とし子代表による3党首会談で、現段階で3党の合流を正式に断念することを最終確認した。

結集・合流を目指してきた3党が合流断念を余儀なくされたことで、「寄せ集めの選挙互助会」とも揶揄されてきた中道が「事実上“解体”し、政党としての存続が困難視される状況」(政治ジャーナリスト)となりつつある。

3党は今後、それぞれの立場で「連携のあり方を模索する」としている。しかし、公明党は「基本政策の違い」を理由に立憲民主党との連携・協力を拒否する構えだ。公明党内からは「ポスト高市政権で自民党との再連携を狙う」(閣僚経験者)との声も漏れてくる。

「衆院は合流・参院は断念」の舞台裏

8月31日の党首会談に先立って、3党は28日の党首会談で対応を協議。その中で、水岡代表は合流見送りの方針を表明する一方、「立・公の参院統一会派結成を含め、国会・政策・選挙の3分野で連携を深めたい」として、2027年の通常国会会期末までに「政権交代を目指す政治勢力の再結集を図りたい」と訴えた。

しかし、3党合流を「公党間の約束」と重視してきた公明党は、統一会派の結成に拒否反応を示し、中道からの公明党系議員を引き揚げる考えもにじませた。公明党が中道から離脱する場合は「分党・解党や公明党系議員の離党など、その手法も焦点」(中道幹部)となる。

 

今回、3党の合流協議が破談となった背景には、衆院選以降の中道の党勢低迷があることは間違いない。3月には立憲民主党と公明党が「27年春の統一地方選前の地方議員の中道合流」を見送り、それぞれ独自候補を擁立する方針を決めている。

そもそも、産業別労働組合の組織内候補を抱える立憲民主党は、参院選で比例区を中心に公明党と激しく争ってきた。さらに、「リベラル政党」を標榜する立憲民主党と、自民党と連立を続けてきた公明党とは、「安全保障や原発などの重要政策で大きな隔たりがあり、先の特別国会でも皇室典範改正に中道と公明党は賛成し、立憲民主党は反対した」(同)経緯もある。

3党が7カ月にわたって繰り広げた「同床異夢」

中道改革連合の臨時常任幹事会で発言する小川淳也代表(写真:時事)

31日の党首会談は約30分で終了。会談後の記者会見で、中道の小川代表は苦渋の表情を浮かべながら「3党の合流がこの時点で実現しないのは残念なことだ」と頭を下げた。

さらに、小川代表は「中道精神が揺らぐものではない。中道勢力と、政権交代に向けて再起動する『新たな形態』を目指していきたい」などと、野党再結集に向けて改めて努力する考えを強調した。

この「新たな形態」について、小川代表は「秋の臨時国会に向けて、迅速かつ丁寧な対応を検討する」としたうえで、中道が野党の国会運営を主導するために「衆議院での統一会派」を目指す考えを示した。

これに対して、立憲民主党の水岡代表は「高市政権にどう対峙していくか、改めて協議をしたいとの話し合いで『再起動』という言葉が出たが、改めて今後のスタートとしたい」と応じた。

ただ、公明党の竹谷代表は「公明党としては、参議院も中道改革連合に合流を目指して努力してきた。合流した場合の地方組織の準備もしてきた」と、これまでの結集への努力を強調。立憲民主党が合流を見送る中で「公明党のみが合流することは控える」と、今後は独自の活動を目指す考えもにじませた。

こうした3党の対応から、巨大与党への対立軸を作るための野党勢力の結集は、今年1月の衆院選直前の中道結成からわずか7カ月余で頓挫。事実上の分裂・解体となる可能性が強まった。

 

そこで注目されるのが、次期臨時国会での各党の勢力図だ。

中道から公明党出身議員が離脱した場合、衆院の野党第1党は28議席を有する国民民主党と公明党の2党となる。ただ、衆院の野党第1党が全議席(465)の1割にも満たないという勢力図は「本来ありえないし、想定外の異常事態」(衆院事務局)だ。

そもそも中道という政党は、衆院選直前の今年1月、極めて唐突に公明党と立憲民主党の衆院議員が合流して結党した。その段階では、将来的な参院議員や地方議員の「合体」も目指す方針だった。

中道改革連合の落選者からのヒアリングに出席した野田佳彦氏(右)と斉藤鉄夫氏(写真:時事)

しかし、2月の衆院選で議席が約7割減となる大惨敗を喫したことで、合流を推進した野田佳彦、斉藤鉄夫両共同代表(当時)が引責辞任。後任に選ばれた立憲民主党出身の小川氏が、改めて合流の可否について「8月末の結論」を目標に立憲民主党と公明党との協議を進めてきたというのがこれまでの経緯だ。

今回の合流断念について、中道幹部は「政権の受け皿づくりを目指す非自民勢力の結集は、希望の党、新進党に続く挑戦だったが、結局、『3度目の正直』ではなく『2度あることは3度ある』になった」と肩を落とした。

敵失にほくそ笑む高市自民党

今回の中道の解体・分裂が想定どおりに進行すれば、高市早苗首相が政権の命運をかけて次期臨時国会に提出する、消費税減税関連法案をめぐる与野党攻防の構図も一変することになる。

政界関係者の間では「3党連携のしがらみから脱した公明党が、消費税減税関連法案に賛成する」(自民党の政調幹部)との怪情報も飛びかっており、「臨時国会で消費税減税関連法がすんなり成立する可能性も出てきた」(自民党の国対幹部)という。

野党の多弱化がさらに拡大することになり、「政治力学から見ると、高市政権をさらに安定化させる」(政治ジャーナリスト)結果となりそうな一連の事態。夏以降のさらなる支持率下落を恐れていた高市首相にとって、「中道分裂が最大の援軍になるという、極めて皮肉な展開」(自民党長老)となるのは間違いなさそうだ。