創価学会が抱える高等教育機関の1つ、創価女子短期大学の閉学が決まった。昨今の短大離れの影響かと思いきや、実は本家・創価大学まで定員割れの状態に陥っているという。創立者である池田大作名誉会長が死去してからはや半年が経つが、そんな学会の現状はどうなっているのか。

 

定員割れの実態

 学校法人創価大学は5月1日、傘下にある創価女子短期大学の学生募集を2026年度から停止することを発表した。創価大学と同様に、故・池田大作名誉会長が創立した高等教育機関であるだけに、関係者には一定のインパクトをもって受け止められたようだ。さる学会員によれば、

「会員の反応は三者三様でした。時代の流れとして、短大の閉学は仕方ないと受け止める人もいれば、むしろよく続いた方だと見る人もいます。一方、OGや短大関係者にとっては、ショッキングな出来事だったようです」

 少子化という大きな背景がある上に、そもそも短大そのものの人気が下落傾向にある昨今。在籍者数は定員300人に対し200人にも満たなかったというから、やむを得ない判断なのかもしれない。しかし、

「志願者が減少傾向にあるのは、本家・創価大学も同じことなんです。実は近年の倍率は低下傾向にあり、今や入試では1倍台の学部ばかり。さらに直近では、一学年の定員が1500人と設定されている中、その数を入学者が下回るという状態にまで陥っています。単なる“短大離れ”という問題ではないと思われます」(先の学会員)

 たしかに、創価大学公式サイトで公表されている「入学者数の推移」という資料を見ると、学部生の入学者数は、2021年度までは1500人を優に上回る数字が続いていたのに対し、22年度は1365人、さらに23年度では1245人にまで減少していて、いわゆる“定員割れ”状態にあることが見てとれる。

“池田先生の真の弟子”

「少子化の影響もあるとはいえ、創価学会としての勢いの衰えが顕在化してきた事象だといえます」

 そう分析するのは、宗教専門誌『宗教問題』編集長の小川寛大氏。

「活発に活動する信者が高齢化する一方で、その2世、3世となってくると、篤い信仰心を持つ人はむしろ少数派。これに伴い、わざわざ創価大や創価短大を受験しようと考える人が減ってきているのはたしかでしょう。あるいは系列校が揃っている東京か大阪の子の場合、高校までは親が言うままに創価系の学校に進んでいたとしても、そのまま内部進学するのではなく、大学からの進路は自分で選択する割合が大きくなっているのではないでしょうか。次世代の育成に苦労している様子が垣間見えます」

 本来、「創価大学出身」という肩書は、学会内でも一目置かれる存在だったという。

「創価学会という組織を創設したのは池田氏ではなく、初代会長としても知られる牧口常三郎という教育者です。一方、創価大や創価短大などの教育機関の生みの親こそ、池田大作その人。それゆえに、“創価大出身者こそ池田先生の真の弟子”とされる風潮があり、いわば格上の扱いだったんです。かつては東大と創価大に合格した場合、後者を選ぶ信者までいたほどです」

 

“最後の砦”

 過去には、そんな“池田崇拝”が一部の原動力になっていたこともあった。

「2015年に両大学では、『安全保障関連法案に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会』という組織が結成され、その名の通り、安保法制への反対活動を行うようになりました。かつて池田氏は『反戦平和』を唱えていましたが、当の本人が2010年以降は表舞台に現れなくなったことで、この思想ばかりが“原理主義”のような形で過激化していったように思います。自民公明で連立が組まれている中でも、大学ではこのような思想が色濃く残っていたということです。もっとも、これまでの池田氏の言動を見ていれば、仮に存命であっても、自民党にあわせて現実路線を重視している可能性も大いに考えられるのですが……」

 それが今や、大学・短大ともに人気は低迷。さらに、現会長の原田稔氏をはじめ、最高幹部の多くは創価大OBではなく、むしろ東大OBが主流になっている。こうした点からも、創価学会の在り方そのものの変化が窺えるのだ。

「池田氏が表舞台に出て来なくなって以来、そのようなカリスマ的対象がおらずとも、組織がうまく回るように体制が整えられてきたように思います。こうした中で、池田氏の“最後の砦”ともいえる大学の学会における立ち位置も、以前ほど高尚なものではなくなってきた。小学校から大学まで創価系の学校を卒業し、精力的に活動する“創価エリート”は、過去の存在になりつつあるかもしれません」

 このような現況について、創価学会本部にも見解を尋ねてみたが、回答は得られなかった。池田氏の色が薄れゆく中、組織はどこへ向かうのか――。