自民党派閥の裏金事件をめぐる安倍派幹部らの国会での証人喚問について、自民の稲田朋美幹事長代理は24日のNHKの討論番組で、「証人喚問がすべてではなく、あらゆる場で説明責任を果たすべきだ」と述べ、否定的な考えを示した。公明党も自民の判断にゆだねると同調した。

 立憲民主党岡田克也幹事長は番組で、これまでの政治倫理審査会の弁明について「全く不十分。大事な点は全く説明されていない」と指摘。日本維新の会の藤田文武幹事長も「証人喚問に堂々と出てきて、真実を述べてもらいたい」と述べるなど、野党側は一致して証人喚問の実現を与党側に求めた。

 これに対し、稲田氏は、政倫審での弁明が不十分との批判が党内からも出ていることを認め、いったん廃止を決めた政治資金パーティー収入の還流が復活した経緯など「事実の解明は重要」との認識を示した。その上で、「それは証人喚問がすべてではなく、あらゆる場で説明責任を果たすべきであり、党もまだまだ実態解明について努力をするということだ」と述べた。

 証人喚問に後ろ向きな稲田氏の発言に、共産党の小池晃書記局長は「自民の(衆院予算委員会の)筆頭理事は、偽証罪に問われることを反対理由にしている。つまり政倫審では真実を語らなかったということだ」と指摘。さらに「裏金作りを始めたキーマンと言われる森(喜朗)元首相も含めて証人喚問が必要だ」と訴えた。

 また小池氏は、公明の石井啓一幹事長に対し「ぜひ自民党に証人喚問をやれと言ってほしい」と求めた。しかし、石井氏は「当事者を抱える自民党が応じるか否かにかかっている。自民党の判断を待ちたい」と述べ、自民の判断に従う姿勢を強調した。

 野党側は、衆院では安倍派で事務総長経験がある西村康稔前経済産業相、松野博一官房長官高木毅前党国会対策委員長下村博文元文部科学相のほか、同派座長の塩谷立元文科相、池田佳隆氏=政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で起訴、自民除名=の計6人、参院では世耕弘成・前党参院幹事長、橋本聖子元五輪相、西田昌司氏の3人を対象に証人喚問を求めている。(国吉美香)