1. (1)保護観察付きの執行猶予がついた判例

    20代の男性に43歳の女性が大量のメールを送りつけたことにより逮捕されています。この女性は被害者に好意があり、接近禁止命令が出ているにもかかわらず男性の職場付近をうろついたり、見張ったりなどのつきまとい行為をしたとして逮捕・起訴されています。

    平成30年2月22日、千葉地裁の判決では、懲役6ヶ月、保護観察付き執行猶予3年を言い渡されています。犯行を認め反省していて、精神科で治療を受けるなど状況を改善する姿勢が実刑にならなかった理由とされています。

    過去にはストーカー規制法成立のきっかけとなった「桶川ストーカー殺人事件」やストーカー規制法改正のきっかけとなった「逗子ストーカー殺人事件」など、ストーカーに関わる大きく取り上げられた事例はあります。しかし、ストーカー規制法に関する判例はまだ少ないのが現状です。

  2. (2)執行猶予がついた判例

    平成23年8月10日に東京地裁で出た判例です。これは、加害者が被害者の自宅駐車場付近で、被害者が乗る自動車の見張り行為をしたり、自宅の玄関に行き何度も様子をうかがったりなどして起訴されています。

    判決では懲役10か月で執行猶予がついています。被告人は罰金刑ではなく懲役刑の判決を不服として控訴しましたが、棄却されて確定しています。

    ストーカー規制法で逮捕される事案は改正を機に変化しています。これは改正でインターネットを使ったストーカー行為も対象となったためです。しかし、実際に起訴され裁判にまで発展するケースは少ないようです。
    ストーカー行為では、ストーカー規制法だけではなく、刑法の傷害罪や脅迫罪など他の法律にも抵触する可能性のあることが関係しているでしょう。

  3. (3)インターネットを使ったストーカーは難しくない

    インターネットを使ったストーカー行為、SNSなども法改正によって規制対象となったことから、集団ストーカーとして逮捕される可能性は高くなっているといえます。

    従来は何らかの接触が必要でしたが、インターネットでは簡単にストーカー行為ができてしまいます。たとえ協力していなくても、集団でひとりに対して嫌がらせを行えばストーカーとみなされます。

    集団の事例ではありませんが、女子高生に対してSNSから「バス停で見ているよ」などと投稿し、監視していることを伝えたとして平成29年にストーカー規制法違反で男が逮捕されています。

    現在では立件のハードルが下がっているため、気軽に言ったことでも逮捕されてしまうことがあります。そして、インターネットの普及により、複数の人が同じような攻撃をすることが容易になる環境ができています。