創価学会の池田大作名誉会長が死去してから、はじめての正月を迎えた。凄惨な災害や事故に紛れて、学会内部では新年行事が華々しく開催されたのだが、そこでの“永遠の師匠”の扱いに、疑問の声が続出しているという。

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 池田氏が死去したのは、昨年11月15日。聖教新聞では「仏法史上不世出の大指導者」として死去が大々的に取り上げられただけでなく、年が明けてもなお、池田氏の名前や写真が紙面に載り続けている。内部で開かれた「創価学会葬」でも、会長から「私ども池田門下は、どこまでも異体同心でたたかいます」などいう熱い言葉が寄せられていた。数百万にも及ぶといわれる“門下生”が、唯一無二の“師匠”を失ったわけだから、その喪失感は計り知れないところである。

 しかし、

「学会員向けに、年末にこんなものが配られていたんです」

 そう打ち明けるのは、学会関係者の一人である。

「これは『新年勤行会』という毎年恒例の元日行事の案内状です。各地域の会館に学会員が集合し、皆でお題目を唱えるという、年始の一大イベントですね。とはいえ、今年は池田先生ご逝去の直後のはず。それにも関わらず、喪に服す気持ちがいささかも見られない案内状で、びっくりしました」

翌日は「四十九日」なのに……

 

 

 実際にその案内状を見てみると、まずは真っ赤で鮮やかなデザインと、“辰”のかわいらしいイラストが目に付く。そして「新年あけましておめでとうございます」「ご家族おそろいでお越しください」という華やかな文言まで印字されているから、さすがに違和感を抱かざるを得ない、というわけだ。

「地域によってデザインは異なるようで、中には大勢の学会員が笑顔で会合に臨んでいるデザインのものもあったそうです。いずれにしても、先生への気持ちが感じられる内容ではありませんよね」

 さる現役の学会員も、

「案内状の通り、今年の『新年勤行会』も、特段の変更もなく例年通り晴れやかに開催されていました。完全に喪中の扱いにしろとまでは言いませんが、言うまでもなく、先生は学会員にとって最も大切な存在です。そんな先生の権威があってこそ、これまで学会は運営されてきたはずですが、亡くなった直後にこれとは……。まして、1月2日は四十九日のタイミングですからね」

「新規会員は一桁」

 たしかに、池田氏を慕う会員たちに対して、そのような配慮があってもよかったようにも見える。それにも関わらす、なぜこのような開催に至ったのだろうか。

「背景にあるのは、止まらない会員数の減少でしょう」

 と、ある地域の元学会幹部が解説する。

「私の住む分県(県を何分割かした単位)では、高齢の方が亡くなった影響で、2023年の会員減少数は数百人規模にまで達しました。その一方で、新規の会員獲得数はわずか一桁。全国的にも同様の傾向が続いていますから、会員数の減少は明らかです」

 そしてこう続ける。

「これ以上の会員減を防ぎ、また現会員の意識を高めるためにも、『新年勤行会』のような定例行事は、本部としても重視しているようです。コロナのときには開催できていなかったこともありますから、学会と会員をつなぐ機会として、やらないわけにはいかないのでしょう。実際、今年の『新年勤行会』に参加できて喜んでいる学会員も多くいます」

 

間近に迫る選挙

 加えて、こんな事情もあるのだとか。

「総選挙が近いことも、背景の一つにあると思います。今の創価学会にとって、選挙は最も重要なイベントになっています。地域ごとに票読みが細かく行われ、公明党が一票でも多く獲得できるよう、皆が一体となって各々の知り合いに声をかけていくのです。実は昨年の秋の段階でも、年内に総選挙があるのではないかという見立てで、既に選挙活動に追われていた地域もありました。『本当に選挙はあるのか?』とこぼしながら、休日返上で頑張っている会員さんもいたくらいです。年が明けて、いよいよ解散が近いとの声も高まる中、“ここでもう一度会員たちを鼓舞しておきたい”という本部の意向が働いたのではないでしょうか」

 このような、会員数減少の実態、また「新年勤行会」の開催状況やその理由などについて創価学会本部に確認してみると、

「この種の質問にはお答えしておりません」

 20年続く「公称827万世帯」の牙城が崩れる日が来るのか――。