第五章 対処法 

 第一節 組織や団体による犯行の場合、個人で太刀打ちする事は非常に難しい


 組織や団体による犯行の場合、個人で太刀打ちする事は、非常に難しいです。

 被害者と面識のない人間を大動員してガスライティング行為とストーカー行為を繰り返す為、実行犯である加害者を正確に特定する作業から入る必要があります。

 ガスライティングは、被害妄想や気のせいだと誤解されるような嫌がらせを大量に行う点に特徴がある為、加害行為を受けたと被害者が思っていても、その時は偶々で、相手は加害者ではなく、偶然だったという事もあれば、その逆に、偶々で気のせいだろうと思っていたものが、実際には加害者側が仕掛けたガスライティングだった、等という現象も起きる為です。

 ことストーカー行為を働いてくる大勢の面識のない人間達の存在に関しては、挙動から監視者だと見当がつくだけなのですから、正確に特定する事など不可能です。

 それに近年の手口として、わざと被害者に証拠の動画等を撮影させて、その姿を第三者に目撃させる事によって、被害者を逆に不審人物や要注意人物、危険人物にでっち上げて潰そうとするような企てを計画する人間達も出てきているようなので、本人が証拠の動画や写真を撮影したり、音声を録音する事自体にリスクが生じてきているのが実情です。

 また、例えば、通称ドアバン攻撃を参考にお話しさせて頂きますが、兵庫県明石市で、2019年3月、被害者宅周辺において、被害者に対し粗野乱暴な言動をし、嫌がらせ行為を反復して行ったとして、県迷惑防止条例違反で兵庫県警明石警察署に60代の女性が逮捕される事件が発生しました。

 この事件も内容が酷くて、しかも嫌がらせが20年以上にも渡っていたそうで、テレビの情報番組でも取り上げられて、ちょっとした騒動になったのですが、その際、被害者が撮影していた被害記録の動画がテレビでも放映されました。

 すると驚いた事に、この女性、自宅二階の窓かサッシを、二度ほど連続して思い切り閉めている姿が映っていて、有名なドアバン攻撃を行っていたのです。

 他には手を叩いて被害者宅周辺の練り歩いたり、被害者に執拗に罵り、食ってかかって行く異様な姿も映し出されていました。

 その時、こう思いました。

 ドアバン攻撃など撮影して、よくそれが証拠になったものだな、と。

 ドアバン攻撃は、毎日、同じ家がやってきているわけではありませんし、明石のケースに関しても、毎日やっていたわけではないのでしょう。

 撮影したとしても、偶然なのか、故意によるものなのか、その判別がつかない為、嫌がらせでやっていると断定する事は難しいはずなのです。

 嫌がらせを働いた時、偶然であり、被害妄想であると抗弁する事によって言い逃れのできる犯行が多いのが、組織犯罪として行われるガスライティングの手口の特徴なのです。

 夜間の外出時にハイビームを浴びせるものにしても、記憶に残りやすい車両を大量に付き纏わせるものにしても、全て、記録したところで、偶然だと加害者に攻撃されて、証拠を出せと開き直られてしまったら、それまでなのです。

『第三章 ガスライティングの手口 第二節 具体的な嫌がらせの手口』のところで、被害者の情報は全てSNSに記録されていると書きましたが、加害者が持つスマートホンを調べて、記録を突きつけて「これが証拠だ」と言えば、加害者は最早、ぐうの音も出なくなるでしょう。

 しかし、そんな事をする権限があるのは警察だけであり、被害者には、加害者のスマートホンを調査する権限などないのです。

 被害者と接するリスクのあるガスライティング類は、実行犯は必ずしも一人でなく、最低でも二人一組で行われる事も多いです。

 すれ違った相手が一人だったとしても、実はもう一人、他の場所にいて、その様子を確認してスマホからSNSに記録するといった事も行われている可能性があります。

 こと、被害者が抗議してくる可能性の高い相手の場合であれば、その種の対策は講じられている可能性を想定した方がよいでしょう。

 接する方の実行犯が自分のスマホを仲間に預け、手ぶらになっていたとか、小細工して犯行に使用していないスマホだけを所持した状態ですれ違ってきていたとしたら、無駄骨を折るだけになります。

 もし万が一、この状態で抗議してスマホを出させたとしても、スマホを調べたとしても、何も出てこないだけでなく、逆に被害者が、何もしていない人に被害妄想から因縁を吹っ掛けて、抗議してきた危険人物にでっち上げられるリスクさえ出てくる事になります。

 ガスライティングは、加害行為が行われたその現場と、SNS等で被害者の情報を共有し、実際にその加害行為を働いた趣旨の記録が残るSNSのデータ、この二つが揃った時、初めて現場の記録が証拠として有効となるのです。

 ここは非常に重要な部分ですので、是非、覚えておいて下さい。

 相手は狡猾な犯罪者の集まりなのです。

 被害者が相手にしている加害者は、異常者であり、犯罪者なのです。


 明石のケースでドアバン攻撃が嫌がらせとして認められたのは、その他の嫌がらせが行われていたからです。

 その他の嫌がらせがあったからこそ、ドアバンも嫌がらせで行われたのだろうと、そのような看做され方をしただけなのです。

 従って、このような被害に巻き込まれたら、まずは探偵事務所に相談に行くことが望ましいと思われます。

 第二節 民事裁判では勝てる可能性も


 ガスライティングが絡んだ裁判で、被害者が途中で和解した為、勝訴にまで至らなかったのですが、加害者側が嫌がらせを働いた事実を全面的に認め、事実上、被害者側の勝訴となったケースもあります。

 これが有名な2015年2月に和解が成立した埼玉県越谷市の嫌がらせ裁判です。

 行われた嫌がらせは下記のような物だったそうです。

・嫌がらせで自転車のタイヤを切り裂かれ(5~6回程度ではない)、
 チューブが全て剥ぎ取られる

・嫌がらせでゴミを散乱される

・別の号棟の住人である加害者がわざわざ被害者の自転車が置かれた別号棟
 の自転車置き場を度々徘徊

・郵便ポストへの置き石

・被害者宅の棟の階段踊り場に加害者が徘徊の際に飲んでいたビールの空き
 缶が散乱

・加害者の長男やその友人と思しき団地付近の児童(中学生)らが、団地敷
 地内で発泡スチロールを粉々に破壊してゴミを散乱させ、周辺を徘徊して
 は被害者宅を威嚇するように「ぶっ殺すぞ!」等の奇声を集団で発する

・被害者が所有する車の周りを複数の人間が中を覗きこむように見る

・その車の前後に生ゴミ、鳩の死骸、新聞紙(某宗教団体の機関紙)を丸めた
 ものが散乱

・複数の人間が昼間から駐車場にたむろして、何らかの機械の部品を広げて
 被害者を威嚇しているような感じで騒いでいる

・棒や布団叩きで被害者の母に向かってアピールし、掲げる場所を変えて長
 時間にわたって「死亡」という文字を指し示す行為を連日長期間に渡って
 繰り返した(偶然と言い逃れする為のガスライティング行為)

・マンションの通路に並べて干した何枚もの布団や座布団をひっきりなしに
 バンバン、バンバンと力強く狂ったように叩いては騒音を立て、わざと下
 に落とし、拾いに行き、戻りに手摺や金属を十手のようなもので叩き、金
 属音を鳴らし続けて家に戻って行く(こうした行為も影響し、被害者の母
 は聴力に異常をきたした)

・外出する際には後を尾行(※当時の埼玉県では迷惑防止条例にストーカー
 規制がない為、単独のストーカーでも取締法がない)

・別の階に住む主婦が、加害者と同様に布団を叩き、被害者に姿を見られる
 とそそくさドアの中に隠れるように入っていった

 
念の為に言っておきますが、あくまでも、表沙汰になっているだけでこれです。

 実際には、住民ぐるみで相当激しく大量に嫌がらせが行われていたようで、民事裁判を行うに際し、使えるものだけを揃えて、このような感じだった、という事のようです。

 また、刑事事件化を視野に検討されていたようですが、被害者の方は断念されている事から、上記にある刑事事件相当の行為は、全て、加害者が特定する事が出来なかった、という事のようです。

 このケースは、被害者側が某宗教団体の入信や勧誘を拒んだ事が原因で始まったのではないかと被害者側が言われている事件です。

 裁判での和解後、組織的と考えられる悪質な嫌がらせ事件が発生している事から、団体側が組織的に嫌がらせを働いていた可能性が高いものです。

 嫌がらせの内容的には、誰の仕業かわからない為、犯人が逮捕されない嫌がらせ、被害者の居住棟の周りで騒ぎ「ぶっ殺すぞ」などと奇声を発しつつ、被害者に対する嫌がらせではないという体を取る嫌がらせ(ガスライティング系)、布団叩きと金属音(被害者以外の他の戸も同時に被害に遭っている為、被害者に向けたものでないとの言い訳が成り立つ)、被害者の車の周囲でたむろしたり駐車場で恫喝行為を取る(これも偶然だと言い張って逃げる気だったと考えられる)。

 要するに、相手の被害妄想だと言い張れば、全てそれで通る嫌がらせばかりを固めてやっていた(ガスライティング系がメイン)、という事です。

 ガスライティングとしてはかなり杜撰な手口ですが、こうした嫌がらせを総合的に見れば、加害者が被害者に対して嫌がらせ行為を働いているのは明白です。

 また、刑事裁判は有罪にすると懲役刑に処し、加害者の人権を制限する事になる為、非常に事実関係の認定を厳格にやるのですが、民事裁判の場合は、こいつが加害者だと第三者の目から見て明らかなら、加害行為があったと認定する為(刑事で無罪、民事で有罪が出るのはこの為です)、被害者が訴えた証拠の数々から、加害者が明らかに嫌がらせを働いている事が明白であると考えられた為、裁判が判決まで進んでいれば、被害者は勝てた可能性が高いと考えられています。

 だから訴えられた加害者は嫌がらせを働いた事実を全面的に認め、転居を条件に、和解を申し出たのです。

 ガスライティングは、個々の行為だけ見れば、偶然を装って行われている為、立証は難しいです。

 しかし、明らかに故意に、嫌がらせでやっているなと第三者や裁判官の目から見てわかる程度のところまで証拠を執拗に収集すれば、そこを糸口に「偶然を装って行われた嫌がらせ行為=ガスライティング行為」は、偶然ではなく、故意に行われた嫌がらせとして裁判所が認定し、被害者側が勝訴できる可能性は十分ある状況になるのです。

 先程挙げた2019年3月の明石のドアバンがそうです。

 他の嫌がらせも行われていた事から、ドアバンも嫌がらせで行われているであろうという推定が成されたという事です。

 この記事で取り扱っているのは組織犯罪系のガスライティングです。

 被害状況にもよりますが、被害者宅の隣近所、被害者宅の半径数百メートル以内に住んでいる住民らが全く嫌がらせに参加していないようなものならお手上げですが、そうでない場合、どこの家の人間が嫌がらせを働いているのか、何軒か、あるいは、数十軒単位で、特定できるケースも多いわけです。

 そのような場合、探偵を雇えば加害行為の証拠の収集は意外と容易です。

 また、加害者は大抵、自分の加害行為を他人に吹聴しているものですから、加害行為を働いた事を自白している証拠も見つけられます。

 LINEグループを使用している場合、その特定のハードルが非常に下がる為、加害者間で嫌がらせ実行の謀議や、嫌がらせを実行した趣旨の連絡をしている決定的な証拠を掴む事も可能になってきます。

 そこまで行けば、あとは京都府の道路族事件と同様、民事裁判ではほぼ確実に勝てます。

 第三節 興信所・探偵事務所の選び方


 嫌がらせ実行犯達の特定作業などは、常時監視されている被害者には出来ない事ですし。

 その特定作業を通じて、組織犯罪としてのガスライティングの全体像を把握する事は、素人に出来るものではありません。

 その際に注意すべきなのは、ホームページを確認して、「電磁波」「思考盗聴」「音声送信」「テクノロジー犯罪」「エレクトリック・ハラスメント」といった、おかしな文言が出ていて、そうした行為の調査を行っていますと声高に叫ぶような探偵事務所は、回避すべきだという事です。

 恐らくその手の探偵事務所はいわゆる「統合失調症ビジネス」と呼ばれる精神障害者達を相手にした商売を展開しているところです。

 ガスライティング問題に取り組む気がある事務所ではありません。

 組織犯罪としてのガスライティングや、地域住民らが徒党を組んで嫌がらせを働くケース、ママ友間のガスライティング等は、認知度が上がり、そのような問題が本当にある事が世間に認知されるようになってきました。

 とはいえ、まだまだ、この種の問題を知らない人は大勢います。

 それに団体や組織の仕業の場合、調査する側も命懸けになる可能性が高い事から、探偵事務所も、弁護士事務所も、相手を恐れて仕事を引き受けてくれない可能性が十分に考えられるのが現実です。

 長々と書き綴ってきましたが、ここで書いた情報が、被害に遭わせている方達の参考になれば、幸いです。

 最後に、繰り返しますが、組織犯罪としてのガスライティングで、「電磁波」「思考盗聴」「音声送信」「テクノロジー犯罪」「エレクトリック・ハラスメント」等と言ったものが行われている事実は一切ありません。

 第四節 加害者の人へ


 加害者と言っても、加害団体に属していて、団体からの指示で実行している人、グルーブで加害行為を実行している人等、形態によってかなり違いがあるわけですが、それでも言える事が一つだけあります。

 ガスライティングを働いて絶対にバレないなんて事はありません。

 何故、個人間のガスライティングがバレないと言われるのか、理由がわかりますか?

 これは言った言わないの話になり、証拠がないからです。

 組織的なものになったら、話は全く違ってきます。

 組織的にやる場合、実行犯が完全に口裏合わせをする必要があります。

 更に口裏合わせで完璧に犯行を隠蔽できる内容である必要があります。

 例えば「1.尾行や監視、付き纏い」の「その1 定点監視」と「その4 出発時と帰宅時の付き纏い(近隣住民によるもの)」。

 本当に証拠が残らないと思いますか?

 被害者が動画等で撮影して記録をつけていれば、どの家の人間がいつ不審な監視行為を取ったのかは一目瞭然です。

 ずっと撮影し、記録を撮り続けていれば、恐らく、1ヵ月と立たずに、徒党を組んで嫌がらせを働き、監視していると立証できます。

 口裏を合わせても無駄で、被害者が動画等で記録を取っていれば終わり。

 もう少し具体的に行きます。

 あなたが外を歩いていたと考えて下さい。

 同じ場所を同じ時間帯に、毎日です。

 その区画を歩いている時、毎日、自分が通るのに合わせるようにドアを閉める、引き戸を閉める、カーテンを閉める閉める家がある確率が、一体、何パーセントだと思いますか。

 これらの行為はガスライティングなので、相手にわざとだと気づかせてないと嫌がらせとして成立しません。

 言い換えれば、他人がわざとだと気づく行為をしていなければ、成立しないという事です。

 わざとだと気づくように仕向けた行為の記録を撮られ続けるという事は、その気づきを第三者にも理解させる事が可能だという事です。

 被害者にしか気づかないというのは、それは被害者が通る時にだけ、別々の戸から故意に音を出す行為を執拗に繰り返しているからに過ぎません。

 記録を蓄積し、毎日どこかの戸から必ず音が出ている異様な現象が起きている事を第三者に証明できれば、第三者に気づかせる事は可能です。

 精神障害者にでっち上げる系のガスライティング、相手を精神的苦痛から自殺に追い込むガスライティングも手口としては同じ系統ですが、こんな事をやってバレないと思ってる方が、どうかしているのです。

 無論、これだけでは証拠としては不十分ですが、弁護士や探偵に見せれば「これは変だ」という事になります。

 気付けば調査に当然入りますし、被害者の主張を信じて、本気で民事裁判に向けた証拠の収集も開始されます。

 動画で記録したら証拠が残るような行為は、全て、容易に立証できると考えて下さい。

 民事裁判で異常なガスライティング行為に手を染めていた事実が明らかにされて、勤め先や友人、知人にもそういう異常行動を取っていた事実を知られて、近隣住民の内、そういった行為に手を染めている事実を知らなかった人達にまで、裁判が行われた事で、自分が手を染めた行動を知られてしまう。

 民事裁判の傍聴は自由です。

 仮にネットで面白い裁判をやっていると噂が広まったり、マスコミが嗅ぎ付けて傍聴に現れて、公判を聞いて呆れかえり、醜聞記事として雑誌に掲載されようものなら、その後、加害者達がどういう末路を遂げる。

 書くまでもないですよね。

 破滅したくないなら、組織的ガスライティングに手を貸さない事です。

 刑事裁判で有罪判決を受けなくても、民事裁判で敗訴しただけで人生が終わる事はあります。

 懲役に行くだけが破滅の道ではありません。

 異常な言動を弄して、他人を異常な手口で自殺に追い込もうとしたり、犯罪を起こさせて潰そうとするような異常行動を働いた精神異常者、極悪人の類だというレッテルを一度でも社会から貼られてしまったら、それだけで十分、再起不能になります。

 悪い事をしても刑事処罰されずに逃れられるだなんて犯罪者のような思考をした人間には、ろくでもない末路が待っているという事です。