「書写」を続けると、作文力がアップします。 | 総合国語塾の徒然話

総合国語塾の徒然話

国語に関する質問募集中。できる範囲で答えます。
http://沖縄国語.com/

「書写」が、作文力の向上に効果があることをご存知でしょうか?

「え、まさか。ただ書き写すだけでそんなに意味はあるの?」というのが反対派の論調。確かに、問題を解いているのでもないし意味はなさそうに感じるかもしれません。しかし、ベテランの先生で、この方法を頭ごなしに否定する方はあまりいません。

なぜでしょうか?

たとえば、教科書に載るような文章は「優れた知恵の足跡」であり、読解問題作成のために書き写していると、言い回しの深さや筆者の息づかいに気付きます。構成はしっかりしているし、言葉の使い方も適切で、よいお手本になるのです。これらを書写すると、語彙・文法・センスのある表現・論理展開力が身につきます。

子どもにとっては、大人の文章は書き写すだけで疑問の宝庫。
「この漢字は何て読むのだろう。」
「このことわざはどういう意味だろう。」
「どうしてこんな例え話を使っているのだろう。」
それらを調べながら文の書き方を吸収していけば、書く力が上達します。

こうやって「書写」は文章上達・語彙力増加に有効ですよ、と述べると「では、どんなものを『書写』させたらよいですか?」と聞かれます。

それは、子どもが興味のあるものや夢中になっているものがあれば一番有効です。学問から遠くても構いません。好きなものほどどんどん吸収していきます。

私が子どもの頃に夢中で書写していたのは『プロ野球選手名鑑』。小2の頃には大洋ホエールズ(今の横浜DeNAベイスターズ)ファンでしたので、名鑑に書かれた選手名を書写して覚えようとしていました。だいぶおかしな小学生ですね。当時活躍していた「高木」「田代」「若菜」「遠藤」「屋敷」・・・選手の名を書写。もちろん「ポンセ」選手や、「スーパーカートリオ」といったカタカナもばっちり。「屋敷」を必死に練習する私を見つけた担任は「何でこんな漢字を書いているの!?」と相当な驚き様。そりゃそうだ。

このように、夢中になれる書写対象物があればベストなのですが、そういったものが見当たらない場合は子ども向けの『図鑑』や、『小学生新聞』がよいでしょう。これらは量が適当で、構成もわかりやすく書かれています。使われている語句も豊富で、作文力・国語力アップに繋がります。とくに『小学生新聞』の場合は時事テーマを取り扱うので、社会性も身につき、子どもによっては大人の会話に加われる楽しみも芽生えるのではないでしょうか。

ところで、『小学生新聞』とは、その名の通り小学生向けの新聞のこと。ちなみに私は『朝日小学生新聞』を購読しています。難しいニュースもわかりやすく書かれており、大人が読んでもなかなか面白いですよ。毎日届く、というのも嬉しいポイント。全ての漢字にふりがなが付いていますので、誰でも読むことはできますし、わからない言葉は辞書で意味をしらべさせながら、好きな記事を書写させています(記事は子ども自身に選ばせます)。朝日だけではなく、その他の新聞社も発刊していますので、興味ある方は調べてみるとよいでしょう。

書写とは、書き「写す」ことですから、真似するくらいの姿勢で丁寧に書かせます。書写ノートを作って見なおすと、最初のページとは比べものにならないくらい文字が綺麗になっていく子もいます。だんだん慣れてくると作文も嫌がらなくなりますし、読解力もついてきます。飽きたり、苦痛になったりしないよう、毎日20分位を目安に取り組んでみてください。個人差はありますが、約2ヶ月程度で効果が出てきますよ。