第3回(最終回)は、「パートタイムや有期雇用の労働者を活用する課題」についてお話ししたいと思います。

現在、企業が、パートタイマーや有期雇用等の非正規労働者を活用している中で課題になっていることはどういったものでしょうか?調査結果は次のようになりました。(複数回答)

 

1位 人手不足(応募がない、定着しない等)(43.3%)

特に接客業、保育・介護、清掃、物流の業種で高くなっていますが、働き方改革が叫ばれる昨今、法令順守はもちろんのこと、休暇の取りやすさなど、働きやすい労働環境を選ぶ人材への対応が求められています。

 

2位 人件費の高騰(最低賃金の引上げへの対応を含む)(39.8%)

 政府目標も相まって、最低賃金の上昇により、ここ数年、賃金の上昇傾向が止まらず、人手不足の影響もあり、この傾向がいつまで続くのか予測がつきません。数少ない人材を、いかに効率よく労働生産性を発揮させるかが課題となっています。

 

3位 同一労働同一賃金にかかる法改正への対応(17.8%)

 例えば、賃金を、正社員等の雇用形態ではなく、仕事の内容や能力等で決定するといったようなものです。これまでの給与の決定方法や福利厚生が、多くは、雇用形態や勤務年数に応じて行われていましたが、今後は、…続きは、こちら

 

今回は、働き方改革のポイント⑤「労働時間の客観的把握の義務化」について、ご紹介したいと思います。

 

2019年4月1日から、労働安全衛生法の改正によって、「従業員の労働時間の把握」が義務化されていますが、その目的は、適切な勤怠管理・労務管理行うことによって、長時間労働や過重労働を防ぎ、従業員の適正な健康管理と安全な就業環境の提供を実現するためです。

 

以前からも、厚生労働省のガイドラインで求められていましたが、対象外とされていた管理職や専門技術者などの健康や安全が懸念されていました。そこで、今回の働き方改革の関連により、これらの方たちも含めて労働時間の客観的把握の義務化が法制化されたということです。

 

●どこからどこまでが労働時間?

では、義務化された労働時間の範囲とは、どこからどこまでなのでしょうか。それは、「労働者が使用者の指揮命令のもと、労働者の行為が使用者から義務付けられたと評価できるかどうか」によって判断されます。

また、純粋に業務を行っている時間のみではなく、以下のような時間も指揮命令の下で行われたものであれば、労働時間に含まれ把握が義務化されていますので、注意が必要です。

・朝礼、体操、交代時の業務引継ぎ、など

・業務終了時の掃除時間

・指示待ち時間(手待ち時間)

・会社の指示による研修、教育訓練受講、など

 

●対象者はどんな人?

労働基準法が適用される全ての事業所(中小零細企業を含む)が対象で、それらの事業所で働くパート、派遣、管理職など全ての労働者(高度プロフェッショナル制度の対象者を除く)に該当する方が対象となります。

 

●労働時間を把握するために行わなければならないこととは?・・・続きは、こちら

今年の1月から、ハローワークのサービスが大きく変わったことをご存じでしょうか?ハローワークでは、インターネットサービスの機能を充実させるなど、企業や求職者のニーズに応じたサービスの充実が図られていますので、ご紹介したいと思います。

 

ポイント①「求人票の情報が充実、より分かりやすく」

1.求人票の様式が変わり、掲載する情報量が増え、求職者に対して求人情報をより詳細に伝えることができるようになります。

例えば、今回の変更で「正社員登用」「受動喫煙対策」「必要なPCスキル」「36協定における特別条項」などの項目が新設されるとともに、「仕事の内容」など登録可能な文字数が増え、より具体的な求人条件を表示することができるようになります。

 

2.ハローワークインターネットサービスとハローワーク内に設置されたパソコン(検索・登録用端末)が一本化され、求人情報の内容や検索方法が同じになります。

従来は、ハローワークインターネットサービス上で公開される求人情報は、求人票の一部の情報に限定されていましたが、ハローワーク内のパソコンと同じ求人情報が公開されるようになります。

 

3.求人票に掲載する情報のほか、ハローワークインターネットサービスにおいて、事業所の画像情報(職場の作業風景や建物の外観など)や「事業所からのメッセージ」などの企業からのPR情報も提供できるようになります。

 

ポイント②求人の申込方法が変わります!・・・続きは、こちら

第2回は、「賃金決定など正社員との待遇差」についてお話ししたいと思います。

パートタイマーや有期雇用等の非正規労働者は、近年、実に全就労者の3割以上を占めるまでに増加し続けていますが、正社員と比べて、賃金の決定に当たって、どのような要素が考慮されているのかについて、次のような結果となりました。

 

「パートタイム」や「有期雇用」の賃金決定の主な算定要素(複数回答)

●有期雇用でフルタイム勤務の場合

①「能力・経験」(68.0%)

②「業務の内容や責任の程度」(63.9%)

③「業績・成果」(38.0%)

●有期・無期雇用でパートタイム勤務の場合

①「能力・経験」(有期59.8%、無期58.2%)

②「業務の内容や責任の程度」(有期57.0%、無期58.2%)

③「地域の賃金相場」(有期35.4%、無期36.8%)

●正社員と「業務の内容・責任の程度が同じ者がいる」割合

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今回は、働き方改革のポイント④「月60時間超の場合の割増賃金率を中小企業も50%以上に」について、ご紹介したいと思います。

 

2023年4月から、これまで25%となっていた中小企業での割増賃金率を、大企業と同じ50%以上にするというものです。このねらいは、中小企業においても長時間残業の傾向があることから、残業割増率を高めることで、残業を抑制しようというものです。

 

「なんだ3年後か」と感じられたかもしれませんが、法廷割増賃金率の引き上げは、企業にとって、人件費の上昇となるなど、とても重要であり、現在、日常的に発生しているような現場なら、法律がそうなったからといって、すぐさま見直すことは容易なことではありません。

 

そこで、今から3年後に向けて、どのような対応を行っていけばよいのかを、少し挙げてみます。

 

1.時間外労働の把握

 まずは、正しく時間外労働を把握しているのかの確認です。一人ひとりに、どのような業務があって、

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