今回は、前回から引き続き、法改正の内容(後編②)についてお話ししたいと思います。

 

6.事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止

事業主は、労働者が職場におけるパワハラについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることにつき、法律上禁止されることになります。※セクハラ、マタハラも同様です。

 

7.自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行った場合の協力対応

自社の労働者が他社の労働者に、セクハラを行うことも考えられます。こうした場合、他社から、セクハラの事実確認や再発防止等のような雇用管理上の措置の実施に関して必要な協力を求められた際には、これに応じるよう努めることになります。

 

8.紛争解決援助・調停、措置義務棟の履行確保

パワハラに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とされました。

また、次のとおり、措置義務等についての履行確保(助言、指導、勧告等)が法律上定められました。

 

<労働施策総合推進法>

(助言、指導及び勧告並びに公表)

第33条 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。

2 第30条の2第1項及び第2項の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

 

いかがでしたか?これまでは、法改正によってどのような義務を課せられたのかについてご紹介してきました。次回以降は、実践編として、法改正を受けてのトラブル発生時の対処法を中心にお話ししたいと思います。お楽しみに。

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今回は、前回から引き続き、法改正の内容(後編①)についてお話ししたいと思います。

 

4.雇用管理上の措置義務

パワハラについて、「雇用管理上の措置義務」が新設されました。セクハラやマタハラ等についても、概ね同様の措置義務が設けられています。

 

ちなみに、マタハラ等については、独自の措置義務として、「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置」があり、「業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者その他の労働者の実情に応じ、必要な措置を講ずること」が求められています。

 

①事業主の方針の明確化とその周知・啓発

・管理監督者を含む労働者に対して、パワハラの内容等を周知・啓発する

・就業規則等により、パワハラ等の行為に関する規則を定め、周知・啓発する

 

②相談・苦情等に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

・相談窓口を定め、労働者に周知する

・窓口担当者が、パワハラの内容や発生状況に応じて、広く相談対応を行う

 

③職場におけるパワハラへの事後の迅速かつ適切な対応

・事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者への配慮と行為者対する措置を適正に行う

・パワハラの再発防止に向けた措置を講ずる

 

④併せて講ずべき措置

・相談者、行為者等のプライバシー保護に必要な措置を講じ、労働者に周知する

・上記に係る相談等を理由として、解雇その他不利益な取扱い行わない旨を定め周知

 

5.望ましい取組み

指針では、ハラスメント防止の取組みについて、次のようなものが望ましいとされています。

…続きは、こちら

 

緊急事態宣言が解除されたといっても、なかなか余談を許さない状況が続いている新型コロナウイルスの状況下において、審議が続けられていた「年金制度改革関連法」が5月29日に成立しました。

 

主な年金制度関係のポイントは次の点です。

 

1.2021年4月1日~

・国民年金保険料の申請免除の基準に、未婚のひとり親等を追加

 ・短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引上げ

 

2.2022年4月1日~

 ・老齢厚生年金の繰下げ受給の上限年齢を70歳から75歳に引上げ

 ・65歳未満の在職老齢年金の支給停止基準額(28万円)を65歳以上の基準(47万円)に引上げ

 ・65歳以上の在職中の老齢厚生年金の年金額を、毎年10月に改定

 

3.202210月1日~

 ・週2030時間勤務の短時間労働者の厚生年金保険の加入対象事業所を、500人超→100人超→50人超と段階的に引下げ

 ・短時間労働者の厚生年金保険適用の勤務期間要件を1年以上から2か月以上に変更

 ・厚生年金保険の適用業種に、法律又は会計に係る個人事業所を追加…続きは、こちら

令和2年6月1日から、ついにハラスメント規制法が始まりました。中小企業の事業所は、パワハラの雇用管理等については、令和4年3月31日までは努力義務となっています。今回の法制化によって、企業にどのような義務が課せられるのでしょうか。

まずは、「法改正の内容(前編)」からご紹介していきたいと思います。

 

1.事業主と労働者の責務

パワハラ、セクハラ、マタハラの共通事項として、事業主と労働者のそれぞれの責務が法制上明確化されました。

 

【事業主の責務】

・職場におけるハラスメントを行ってはならないこと。その他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する労働者の関心と理解を深めること。

・自社の労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修その他必要な配慮を行うこと。

・事業主自身(法人の場合はその役員)がハラスメント問題に関する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うこと。

 

【労働者の責務】

・ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に注意を払うこと。

・事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること。

 

2.職場におけるパワハラについて

職場におけるパワハラとは、次の①から③までの3つの要素をすべて満たすものをいいます。いずれも客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラには該当しません。

 

【職場におけるパワハラの3要素】

①優越的な関係を背景とした言動

 例:職務上の地位が上位の者による言動、業務上必要な知識や豊富な経験を持つ同僚や部下の協力がなければ円滑な遂行が困難なもの・・・等

 

②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動

 例:業務上明らかに必要性のない、又は業務の目的を大きく逸脱した、業務を遂行するための不適当な、これらの言動・・・等

 

③労働者の就業環境が害される

 例:言動を受けることで、労働者が身体的・精神的な苦痛を受け、就業環境が不快なものとなり、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、職場環境に支障が生じるもの。

 ※基準としては、社会通念上、就業する上で看過できないほどの言動か否かで判断されます。

 

3.職場におけるパワハラに該当する例と該当しない例

代表的なパワハラの言動の類型ごとに該当する例・しない例をまとめてみました。・・・続きは、こちら

 

新型コロナウイルスの影響により、緊急事態宣言による行政の要請に応じて、多くの事業所において、営業自粛や事業縮小に伴い、従業員を解雇や休業せざるを得ない状況が続いています。また、緊急事態宣言が解除となった現在でも、感染状況前の日常にはほど遠く、元通りにはまだまだという状況です。

 

しかし、緊急事態宣言の解除後は「新たな生活様式」という新たな日常の中で、営業再開や事業回復が進み、徐々にでも、いずれは経営活動も復調していくことでしょう。

そして、経営活動を発展させていく上で欠かせないのは、活動の中心となる「人材」ですが、人材である従業員は、営業自粛や事業縮小に伴い、既に解雇や休業の状態にあります。

 

企業としては、通常の経営活動を円滑に進めるために、効率的な人材の採用や復職に取り組まなければなりませんが、反面、急速に人材の採用や復職を実施すると、採用におけるアンマッチや5月病等の精神的トラブルが発生し、かえって非効率ともなりかねません。

そのためにも、現状に応じた準備は不可欠です。事前に採用・復職に向けた計画を策定し、その計画に基づいて、段階的に進めていくことが有効です。

 

採用におけるアンマッチ防止は、採用経費の抑制につながります。それには、適性検査の実施は効果的です。そのため、採用経費を抑えたいがアンマッチ防止のため適性検査は実施したいという事業者が増えてくると予想されます。

 

また、休業を余儀なくされていた従業員や、在宅勤務等のリモートワークで従事されていた従業員の方が、通常業務に円滑にシフトしていくためには、予防的なメンタルヘルスケアは有効ですので、これらを計画的に実施していくことが、通常の経営活動を円滑に進めていくことに繋がります。

 

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