働き方改革の目玉の一つでもある『副業・兼業』ですが、多くの企業で制度化されている一方で、実際に許可している企業は、まだまだ少数となっているようです。原因としては、やはり、企業として労働者の勤務時間過多による負担増と、労働時間超過等の労務管理の負担が懸念されているようです。


しかし、そういった中で、労使双方に、人材の受入れ、収入増・自由度が高いとして、受け入れられやすい選択肢として挙げられているのが個人事業主。ただ、大きなデメリットとしては、労働基準法の適用外であり、労災保険の対象にならないことです。もし、副業中に傷病が起こっても労災保険は受けられす、そればかりか、休業など本業に影響を及ぼすことになっては労使ともに大きな痛手です。


一方、政府では、働き方改革の一環として、企業による年5日分の有給休暇の指定付与が義務化されていますが、これを労使ともにうまく活用すれば、副業・兼業における勤務時間過多の問題も道が開けてくるのではないでしょうか。


人材不足を背景に、パートタイマー労働者の賃上げ率が5年連続で最高を記録しています。企業としても、他社からの優秀な人材による副業の受入れは、大きなメリットにもなります。


今後、『副業・兼業』が広まっていくためには、勤務時間過多とならないよう、労使双方で、しっかりと時間管理とコミュニケーションを密にすることが肝要ですが、これらが労使双方で負担とならないよう、副業・兼業に即した労務管理を仕組み化していくことが必要と言えます。

→職場のコミュニケーションツール『コンケア

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今回は、一般社員向けの「身近な生産性向上策」②として、「時間の管理」についてお話ししたいと思います。

時間外勤務の多い人と少ない人の仕事の進め方を見てみると、時間の使い方にかなりの差があることが分かります。「時間の管理」とは簡単に言えば自分の状況の管理です。自分の取るべき時間を把握して、1日のスケジュールを管理しましょう。

 

~時間管理の進め方~

①自分の時間を把握する。

 →段取り、事の進め方、時間の使い方など時間の空間を認識する。

  どれくらい時間をかけて物事をこなしているのかを記録して、時間を見えるようにする。時間の記録→時間の比較→内容の評価

②やることと、やらなくてもよいことを区分し、細分化する。

 →今日、絶対やらなければならないことを書き出し、作業の優先順位をつける。

③各作業の締切りを時間単位で決める。

 →その中で一日の作業の予定を立てる。

 

「時は金なり」

時間は自分の財産です。打ち合わせや相談、作業発注により、相手の時間を奪うことにもなります。集中できる環境を自分でつくる。時間の使い方で人生は変わります。

 

~労働安全衛生法の改正~

今回の法改正により、健康管理の観点から、管理監督者やみなし労働時間制の適用者も、労働時間の状況を客観的な方法その他適切な方法で把握することが義務化されます。

労働時間の状況を客観的に把握することにより、長時間労働者に対する医師の面接指導の実施がより有効になります。

 

ちょっとしたコツ集

・朝早く来て、9時半までには自分の抱えている作業を終わらせ、メールを全て見終わっておく。そうすれば、日中はその場で舞い込んだ仕事に即時に対応でき、早く返すことで信頼感も得られる。

30分ごとに仕事を区切り、その中で何をどこまでするのか目標を立てる。達成できなくても、また次の30分で何をどこまでするのかを考える。

・集中できる時間は限られるので、12時の休憩のほかに、10時半にトイレ、15時にコンビニ、17時半トイレ、と自分で5分の休憩時間を決める。それ以外の時間は集中して取り組むように意識している。

・日中は人にお願いする仕事、打ち合わせなど、人と関わる仕事を優先。朝早くや定時後、テレワークで自分の作業を集中して行う。

・習い事を19時半から入れることで、自分に就業時間の終わりの意識を持たせた。

・育児のため原則定時退庁しなければならなくなったので、時間あたりの生産性を高める意識が格段に高くなった。お迎えのない日は、油断して普段は定時までには終わらせられる仕事でも、残業することになるので、時間あたりの生産性を上げる、何時までに仕上げると意識するだけでも、一定程度時間短縮になると思う。

・上司のとの相談が終わって雑談モードになってきたら、相談を切り上げる。

 

いかがでしたか?次回は「生産性向上マネジメント(管理職編)」②「チームの能力把握と適正な業務分担」についてご紹介したいと思います。お楽しみに。

 

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4月に施行された『働き方改革』の目玉である『時間外労働の上限規制』ですが、これまでも多くの労災が発生しており、今回の道路舗装工事会社の課長の男性(46)も、長時間労働を原因とするくも膜下出血による過労死だったとして、労災認定されています。
会社の出勤簿ではすべて「午前8時~午後5時」と定時で記録され、労働時間が正確に把握されていませんでした。パソコンの使用履歴などから最長で月213時間超の残業があったことなども判明しています。

働き方改革では、客観的な時間管理とともに、実労働との乖離がないようチェックも求められています。
家族は「会社は家族を大切にするとうたっていたが、社員も家族も大切にされていなかったと実感する」と話されたそうです。
企業としては、働き方改革の対策に取り組んでおられ、苦慮されていますが、ただのコンプライアンスということだけでなく、働きやすい職場環境の構築も同時に進めていくことが、今後の人材不足の解消の上でも必要になってきそうです

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前回は、一般社員向けの「身近な生産性向上策」①として、「仕事の棚卸しと優先順位付け」について、お話しをしましたが、今回は、チームの生産性向上をマネジメントする管理職についてお話ししたいと思います。

今の危機的な長時間労働の状況を受けて、国は、働き方改革と銘打って、改革を推進しているわけですが、社員一人ひとりが、健康で、やる気に溢れ、高い生産性をもって業務を遂行していくためには、管理職による業務マネジメントがなくては、チームに大きな成果をもたらすことはできません。

 

そこで、一般社員の声から、上司にこのようなマネジメントをしてほしい、という「理想の業務マネジメントTOP10」を探してみました。実際の声ですので、即実践することが可能なものがたくさんあります。

チームの生産性アップへ、「理想の上司」を目指してみませんか?

 

★理想の業務マネジメントTOP10

①主要案件は、部下任せにせず、管理職主導で部下と一緒にスケジュール作成と進捗管理を行う。

②業務量に応じて課内の体制見直しを。各人の得手不得手を把握した上で、職員のモチベーションと成果を最大化させるよう業務分担を考える。

③前例にとらわれず、無駄な作業を作らない。効率化を図る。

 「やめるもの」「前倒しする/遅らせるもの」「自分でやるもの」を決断することこそ、上司の仕事!

④作業指示は、「趣旨」「スケジュール」「成果物のイメージ」「重要度」を明示!

⑤指摘は具体的に、はっきり伝える!判断は早く!

 ゴールをしっかり明示し、任せたら部下を信頼。サポートに徹する。

⑥打ち合わせはダラダラせず、終了時間とゴールを明確に!

 終了後に次の指示を明確に。

⑦上司から能動的に話しかける。相談しやすい環境をつくる。

⑧自分のことは自分でやる。むやみに随行を求めない。

⑨自ら長時間労働にならない工夫を。有休取得や定時退庁も積極的に行う。

⑩みんなのやる気をアップさせる!

 

今回は、「理想の業務マネジメントTOP10」のうち一つめをご紹介したいと思います。

 

理想のマネジメント①

◎主要案件(主要取引先の案件など)は、部下任せにせず、管理職主導で部下と一緒に全体スケジュール作成と進捗管理を行う。

 

仕事の効率・生産性を高めるためには、時間を上手に使うことが必要です。決められた時間の中で仕事をやりきるためには、タスクとリソースの時間配分を効率的かつ適切なマネジメントで行われなければなりません。

 

例えば、部下に仕事を委任するときに、締切りまでの振興計画を部下と一緒に考えます。その時、スケジュールは、細かく決めるよりも、シンプルにすることで、溶け込みやすく柔軟性も高まります。これをもとに進捗状況をチェックしていきますが、ポイントは、細かくなりすぎず、あくまでもスケジュールの項目に応じて一つずつ確認していくことです。スケジュールに関わらず、頻繁に「あれ、どうなった?」と聞くのは、部下と一緒に考えたスケジュールに沿わないこととなり、信頼関係も損ねてしまいます。部下もスケジュールに基づいて、自身で考えて行動していますので、部下の仕事へのモチベーションを下げてしまわないよう、そこは信頼して、必要最小限のチェックにとどめる意識が正しい業務マネジメントに繋がります。

 

ちょっとしたコツ集

・毎朝、総務課長が朝メールにて、課内主要事項の進捗状況を更新し、部長や課内職員に送付。案件によっては部長レクの要否やタイミング、方向性等、処理方針を記載。大まかなイメージを持った上で作業するので、手戻りが少なくて済む。

・進行管理を部下に丸投げせず、ショートミーティング等で課題を自らで作成して意識合わせをする。

 

いかがでしたか?次回は「身近な生産性向上策(一般社員編)」②「時間の管理」についてご紹介したいと思います。お楽しみに。

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昨日(7/29)のNHKの朝の情報番組「あさイチ」で、“消えた年金問題”をテーマとして放送されていました。これは、12年前に発覚した「消えた年金問題」のその後についてがテーマで、10年以上たった今でも1862万件が未解決のままとなっているということです。

番組では、持ち主不明年金バスツアーと称して、年金を取り戻した方を訪ね、年金記録が訂正されたポイントや解決のヒント等が放送されていました。

 

~制度や背景~

・元々、紙の台帳で管理していた年金記録は、その後コンピューターで管理するようになったがその際、判読が難しい情報などが正しく入力されず、年金記録が抜け落ちる事態が起こったため、持ち主不明年金が大量に発生した。

・「国民年金」「厚生年金」それぞれ別の番号で管理されていたが、平成9年からそれらの番号は基礎年金番号として一人一つの番号で管理されるようになった。

・持ち主不明年金のリスクが高い人は、「転職が多かった人」「結婚・離婚などで名字が変わった人」「平成9年より前に年金を払った人」、特に男性で「名字が変わった人はリスクが高い。

・持ち主不明年金は通常の年金とはルールが違い、本人が亡くなっても家族がもらえることも。(一緒に生活・仕送りなどの要件を満たせば、子や孫が亡くなった家族の年金をもらえる。)

 

<バスツアー>第1章 年金を探し出した母と娘の物語

『亡き父の記録が見つかり、無年金だった母に年金が支給された』

30年以上前に亡くなった父の記録を長年探してきた母はずっと無年金。娘の援助で生活してきた。母が遺族年金を受け取るためには、父が最低でも300か月の年金納めていなくてはならない。(記録上は292か月)

・父は、記録では20代なかば以降のみの期間だったが、母には、20代前半も仕事をして年金を支払っていた記憶があるため、年金事務所に相談するも、「無いものは無い」と取りあってもらえない。

・すると、母は「繊維関係の労働組合に入っていた」と思い出し、調査したところ、18か月分の記録が見つかったため、加入月数が310月となり、その結果、父の厚生年金に加え、母が受け取るはずだった遺族年金20年分で2000万円が支給されることになった。

※本来、年金の時効は5年ですが、新たに記録が見つかって記録が訂正された場合には、時効が撤廃され、遡って年金が全額支払われます。

 

【持ち主不明年金】見つけるまで・・・

①まず、自宅で「ねんきんネット」「ねんきん定期便」で年金に漏れがないか確認。

 日本年金機構から誕生月に届く「ねんきん定期便」の中で『空いている期間があります。』という記述があったら確認が必要。「ねんきん定期便」を無くした方やもっと詳しく知りたい方は「ねんきんネット」(「ねんきんネット」は年金に加入している方なら登録すれば使えます。)で加入記録が見られます。

 加入していたはずの月が「未加」という表示になっていないか確認したり、また、家族の場合は、持ち主不明記録検索で氏名、生年月日、性別を入力すると、該当する人が持ち主不明記録の中にいるかどうかがわかりますが、これがすべてではありません。

 さらに、年金事務所では、「氏名検索」という機能があり、名前でそれらしい職歴があるかどうか探してくれます。さらに本人が希望すれば、生年月日を少しずらしたり、サチコさんやユキコさんなど読み方が違うこともあるので、名前の読み方を少し変えたりという調べ方もできます。

 

②次に年金事務所に年金記録の確認に行く。

 年金事務所では、それらしい記録があることは調べてくれますが、なりすまし防止のためか、ヒントや、会社の頭文字とかどこどこの近くとかまでで、会社名までは教えてくれません。同姓同名、同一生年月日の方も複数人いることもあるため、特に、遺族年金を請求するときは、本人が亡くなっているので、確認が取れず認められないケースもあります。

 

<バスツアー>第2省 年金を見つけるためのコツ

①『30年以上前の父の年金を取り戻すことができた』

・転職を繰り返していた関係で年金手帳を5冊くらい持っていた。

(基礎年金番号ができる平成9年以前、転職すると違う番号の年金手帳を受け取ることもできた。)

・実際に年金事務所に手帳を持参すると、5~6社分の記録が抜けていた。

(父はバイトだと思っていたが、実は年金を支払っていた)

 

見つけるコツ①複数の年金手帳があったら記録のモレがあるかも

 

②『母親との会話がきっかけで父親の年金記録のモレに気づいた

・母親の記憶を頼りに年金事務所に行き、会社名などを伝えると5年分の年金を取り戻せた。「いしい」の名前が「あかいけ」で登録されていた。名前が違うだけで、所在地や生年月日は合っていた。

見つけるコツ②:ねんきん定期便で登録された情報に間違いが無いか確認

見つけるコツ③名字が変わった人は旧姓の記録も確認

 

~記録調査にあたって~

①年金事務所で必要なる情報は、国民年金の場合は、登録時の氏名・住所・生年月日の3つの情報。厚生年金の場合は、この3つにプラス、会社名、会社の所在地、働いていた期間が必要になります。

②年金事務所での手続きは、会社の名前を正しく確認。子会社や関連会社に在籍していた場合、年金記録は、その社名で登録されていることも。

③自分の手に負えないときは、多少費用は掛りますが、特に年金記録訂正に詳しい社会保険労務士に相談することで解決に繋がることも。

 

<バスツアー>第3章 年金探偵のアドバイス

年金探偵のアドバイス①:住民票の住所以外で登録された可能性も

・国民年金は「住所」が見つけるキーワード。本籍地でも探してみる。

年金探偵のアドバイス②:別の漢字や当時の呼び名(可能性がある名前を確認)

・旧字でも確認する。

年金探偵のアドバイス③:親戚や知人に質問する際に有効な聞き方

・「どんな仕事についていたか?」いくつかのヒントが想定できる。

 

【記録を探すときに役立つもの】

国民年金の場合:戸籍の付表(転入転出をしたとき全て記載されるため)

厚生年金の場合:社員旅行などの写真、給与明細、社員証や社員バッジ

(働いていたことがわかるもの。当時の同僚や社長の名前も調べるヒントになる。)

 

※国民年金と違って厚生年金は、元々住所登録をしていませんでした。住所登録を始めた平成8年までは、カタカナで名前を登録していたため、同姓同名、同一生年月日の方がいる可能性は高い。そのため、会社名を聴くなどの本人確認が行われる。

 

【まとめ】

・本来は国が正確に管理すべきだが、本人が動かないと見つからない。

・過去に日本年金機構から可能性がある人へ通知を出すも、返答のないこともあるほか、多少登録が間違っていることもあるため、基本的には、本人が調べないと、年金機構任せだけでは、記録確認は困難。

 

★粘り強く探せた方からのメッセージ

①母も年金事務所窓口で期間が不足でもらえないと言われた。しかし窓口の後ろから出てきた職員が丁寧に働いていたところを聞いてくれて、調べてもらった結果、年金が支給されることになった。

 ※年金機構で懇切丁寧に調べてほしいが、職員によって異なることも多々ある。

 ※今日の放送を見て、もう一度お近くの年金事務所に行って確認し、埒があかなかったら、他の年金事務所で聞くことも有用。

 

②父は大手企業に勤めていたが、80年代に年金記録を紙からデータに移し替える際に報酬を写し間違っていたことがわかり、1,600万円を受け取ることができた。記録の報酬が少なければ確認した方がよい。

 ※未解決の1800万件については、大体が旧姓で残っている記録や1~2か月の短い記録がほとんどと推測されるが、記録訂正により、受給資格が得られる場合もあるため、自身の記憶を再度確認。

 

今回の放送のように、年金記録が訂正されている方は、たくさんいらっしゃいます。もし、ご本人若しくはご家族で、あれっ?と思うことがあり、少しでも情報がある場合には、お近くの年金事務所に問い合わせてみられてはいかがでしょうか。

 

よろしければ、こちらもご覧ください。→ 事務所HP