働き方改革で、いかに生産性を向上させるかがテーマになっていますが、会社の生産性は決算書の数字から計算することができ、経営者がこれを意識すべきであることは言うまでもありません。


しかし、これを供給する源である労働力、つまり社員自身の意識がなくては、生産性向上は達成できません。であれば、社員一人ひとりにも会社の生産性の状況を把握してその向上に意識をもってもらわなければ、なし得ないということです。


会社の決算書のあらゆる数値を公にするのは、やはり抵抗があるという声も聞きますが、今回のテーマは、会社の生産性について、社員も把握・意識して、一丸となって向上させていくということですので、例えば、売上、経費、粗利、付加価値、損益分岐点などの項目を、意識しやすいように、分かりやすく丁寧に説明していくことになります。


『生産性』とは、投資に対して、どれくらいの結果が得られたかという『ものさし』ですので、これを高めるということは、つまり、投資した労働力や資本から、いかに多くの売上や付加価値を生み出せたかということです。


経営に携わっておられる方はもちろんだと思いますが、人間誰しも、いくら説明されても言葉だけでは十分には信用できず、やはり裏付けとなる数値が無いと納得できないものです。


そこで、決算書の上記のような項目を、できるだけ平易な言葉で、視覚的に、明確に分かりやすく、そして、一人あたりの金額の明示や、会社全体や業界平均との比較など、社員が生産性を意識しやすいように、丁寧に説明していくことが大切になります。


会社の生産性向上にあたり、どうやったら自身の又はチームの業務の効率化が図れるかということを、社員一人ひとりが『改善』の意識をもって取り組んでいくためには、自分が働いている会社がどういう状況にあるか知っている知らないでは、今後さらに差が明確になっていくものと思います。


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今回は、一般社員向けの「身近な生産性向上策」③として、「忙しくても、“食べる・寝る”はしっかりと」についてお話ししたいと思います。

 

「スウィーツのある日常」 ~一瞬の平穏で効率アップ~

忙しくても、しっかり「食べる」「寝る」はおろそかにしない。

 

忙しさ故に、「寝る暇がない」「食事がとれない」こんな状況はよく耳にします。しかし、寝不足や、血糖値が下がった状態で頑張り続けるのは、コストパフォーマンスが悪く、やり切った~と思っても、言い方は悪いですが、それは自己満足に過ぎません。

自身の本来能力を効率よく十分に発揮するためには、しっかりとした「睡眠」と「食事」は必須です。

 

それでも、どうしても食事がとれない時には、食べながら作業できる軽食(ゼリー飲料、チョコなど)を机に常備しておくだけでも効果は期待できます。例えば、自分の大好きなスウィーツだったりすれば、その時間が楽しみになったりしますよね。

 

また、寝不足についても、昼休み等に数分仮眠するだけでも思考力や体力は回復します。寝不足で不機嫌だと、まわりにも負のオーラをまき散らしてしまい、職場にも悪影響を及ぼしかねません。

 

ちょっとしたコツ集

・夜中まで働いたら、次の日はゆっくり休む。長期戦を見越して、疲れたら休む。

・寝不足で不機嫌になり負の雰囲気をまき散らすと、課全体のパフォーマンスが落ちる。きちんと寝ていれば、アンガーマネジメントも可能。不機嫌は罪。

 

いかがでしたか?次回は「生産性向上マネジメント(管理職編)」③「前例にとらわれず、無駄な作業を作らない」についてご紹介したいと思います。お楽しみに。

 

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2020年4月(中小企業は2021年4月)に「同一労働同一賃金」導入や改正労働者派遣法の施行が予定されています。


同一労働同一賃金の対象となる労働者とは、以下の3パターンになります。


・有期雇用労働者

・パートタイム労働者

・派遣労働者


施行後は、これらの方と正社員待遇の方との格差を無くすというものです。つまり、これらに該当しない方は、対象から外れることになりますので注意が必要です。


今後さらに人材需給が逼迫していく中で、時給引き上げはもちろん、福利厚生や教育訓練等の待遇面の見直しも余儀なくされる可能性もあります。


また、派遣社員についても、改正法に沿って派遣先の従業員との間で不合理な賃金格差があれば是正に取り組む必要がでてくることも十分に考えられます。


今回の法改正によって、どのような待遇差が不合理に当たるのかを規定で明確にすること、その待遇についての労働者へ説明する仕組みを、事業主に求められることになります。このほかに、紛争となった際の、裁判外紛争解決手続き(ADR)の導入などもあります。


施行までまだ時間があると思われがちですが、賃金だけではありません。ルール対応のため、規定等の見直しや、そのための労使間の話し合いや、派遣先との話し合いも必要になります。


これらは経営にも大きく影響してくる可能性もあります。このたびの同一労働同一賃金をピンチではなくチャンスと捉え、計画的に準備していくことが、これからの人材難対策にも繋がっていきます。

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今回は、管理職向けの「生産性向上マネジメント」②として、「チームの能力把握と適正な業務分担」についてお話ししたいと思います。

 

業務量に応じて課内の体制見直しを。各人の得手不得手を把握した上で、課員のモチベーションと成果を最大化させるよう業務分担を考える。

 

「適材適所」

いくら能力が高いメンバーが揃っていても、個人一人ひとりがバラバラに業務を行っていては、個々の能力が十分に発揮されず、チームとして望むような成果を上げることはできません。しかし、個々本来の能力が発揮されれば、個々のモチベーションも高まり、チームに数倍の成果をもたらすことも可能になります。そのためには、まず管理職が、個々の能力(強み・弱み)を把握し、その能力と適性をチームとして最大限に発揮できるように適正な業務分担(役割、配置)を行うことが、マネジメントを行う上で大変重要になります。

例えば、ショップの店長を例に挙げます。店舗の業務として、販売管理、在庫管理、労務管理、顧客管理、店舗のメンテナンス等がありますが、店長として、メンバーをこれらの業務に配置します。なお、あらかじめシステムにより、メンバーの「能力」と「適性」(強み・弱み)の基本情報は共有されているとします。

ここでひと工夫。店長は、メンバーに、業務分担にはない、チームの○○役といった、ムードメーカーやお手本、褒め役、叱り役、調整役等の潤滑油的な役割を持たせます。

こうすることで、メンバーそれぞれの「能力」と「適性」に応じた業務分担により各メンバー本来の力が発揮されると同時に、チームに潤滑油を差すことで、各メンバーが、チーム内で生き生きと活動でき、能力を最大限に発揮しやすくなり、結果、チームの高成績にも繋がっていきます。

 

ワンポイント

業務分担後の運用上で大事なポイントは、個々の弱みには決して注視せず、強みに焦点を当てる、そういった意識をすることが、人材育成にも好影響を与えることになります。

 

ちょっとしたコツ集

・各課員が得意なことについて評価し、モチベーションが上がるように導いてくれた。

・新規プロジェクト業務で、通常業務に加え、複合的な職務の統合・調整が必要となったとき、課長に相談したところ、即答で調整事務の実務担当社員を配置してくれた(動いてくれた)。その結果、当該プロジェクトは、社員のモチベーションを維持しつつ、成果を上げた。

・自分の仕事の進み方を見て何が足りないのかを感じ指示してくれた。部下の状況に合わせた教育、指導をするのは大変難しいと思うが、その指導は、当時の業務に的確であったのみならず、その後の仕事にも応用が利くものだった。

 

いかがでしたか?次回は「身近な生産性向上策(一般社員編)」③「忙しくても、“食べる・寝る”はしっかりと」についてご紹介したいと思います。お楽しみに。

 

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パワーハラスメント(パワハラ)に関する相談の増加が目立っています。


今年の5月に職場でのパワハラ防止を義務付けるハラスメント規制関連法(いわゆるパワハラ防止法)が成立し、来年4月には施行され、企業は相談窓口の設置などを求められます。


しかし、関連法には上下関係を背景としたパワハラは許されないと明記されてはいるものの、行為そのものの禁止や罰則は盛り込まれていないため、効果を上げるには、実際に企業が「何がパワハラか」を正確に理解し、問題化する前にその芽を見逃さない意識を職場に浸透させることが不可欠です。


例えば、千葉労働局の集計では、2018年度の民事上の労働紛争に関する相談件数は前の年度に比べて14%増の8162件にのぼり、そのうち職場での嫌がらせやいじめなどパワーハラスメント(パワハラ)に関する相談は、件数全体の32%で最多で、前年度に比べても21%増と、全体の伸び率を上回る結果となっています。


担当者は「転職に成功した労働者が以前の勤務先で受けたトラブルを相談するケースが目立つ」として、人手不足を背景に転職先の選択肢が増加したことで、被害者が泣き寝入りせずに済むようになったことがうかがえます。さらには相談のみにとどまらず、労働者が事業主に補償を求めて訴えるケースも増加しています。



こうしてみますと、法制化も踏まえて、パワハラ防止に対する企業側の意識は高まってきてはいますが、それに比して労働者としても要求が多様化してきており、今後、より一層、密なコミュニケーションとそれに対応した労務管理体制の構築が求められると言えそうです。


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