■ 退職金

おはようございます、東京都府中市の社会保険労務士 飯田弘和です。

 

 

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【チェックポイント その399

退職金規定がない場合の退職金支払い義務

 

ある事業主からの相談です。

 

夏のボーナスをもらった直後に退職した労働者がいます。

その労働者が、退職金の支払いを請求してきました。

この会社では、退職金規定等はなく、今までも退職金を支給した実績はありません。

しかも、この労働者は、退職の際に、自分が使っていた会社のパソコンにロックをかけました。

パソコンの中には、業務に必要な資料やデータが入っていますが、パソコンを開くことができないため、それらを見ることができません。

その労働者は、請求通りに退職金を支払えば、パソコンのロックを解除するといってきています。

相談に来られた事業主は、「これは脅迫だ!」と憤っています。

 

労働者には、“退職の自由”があるため、必要最小限の引き継ぎさえ行えば、退職することができます。

しかし今回の場合、引き継ぎを行わないどころか、業務妨害ともとれる、パソコンのロックを行っています。

これは、刑法の偽計業務妨害あるいは威力業務妨害に該当する可能性があります。

また、ロック解除を専門業者に依頼した場合、その費用を損害賠償として労働者に請求することも可能でしょう。

ロックされたために業務に支障が出れば、それによって生じた損害についても請求が可能です。

 

ただ、既に退職してしまっているため、懲戒解雇等の処分はできません。

ただし、退職金規定がある会社においては、以下のような規定を設けることで、退職金を不支給とすることができます。

「退職者について、在職中の懲戒解雇事由に該当する行為が退職後に発覚した場合には、懲戒解雇に準じて退職金は不支給とする」等の規定があれば、退職金を支払わないことも可能と考えます。

 

今後も、このような従業員が出てこないとも限りません。

そのため、たとえ中小企業であっても、業務の属人化を避け、業務内容を共有するシステムや制度を作っておく必要があります。

 

ところで、今回の退職金についてですが、退職金規定等なく、過去に退職金を支払っていた実績もなく、さらには退職金を支払うとの個別の約束等もないのであれば、退職金を支払う必要はありません。

 

 

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発信者プロフィール
 
 社会保険労務士事務所いいだ
     社会保険労務士  飯田弘和(いいだひろかず)
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