■ 試用期間中の解雇

おはようございます、東京都府中市の社会保険労務士 飯田弘和です。

 

 

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【チェックポイント その359

試用期間中の解雇

 

ある会社の社長さんからこんな話をされました。

「試用期間中の従業員を解雇したいのだが、雇入れから2週間以内であれば問題ないよね。」

 

労働基準法では、従業員を解雇するには30日以上前に通知しなければならないことになっています。

これを“解雇予告”といいます。

30日前に通知できなければ、30日に不足の日数について“解雇予告手当”というお金を支払わなければなりません。

しかし、試用期間中で、雇入れから14日以内の解雇については“解雇予告”も“解雇予告手当”の支払いも不要とされています。

 

ただ、この労基法の定めは、あくまで解雇の手続きを定めたものであって、この解雇が有効なのか、不当解雇として無効なのかというのは民事の話となります。

民事上は、解雇は“客観的に合理的な理由”と“社会的相当性”がなければ、事業主の権利の濫用として無効となります。

したがって、たとえ雇入れから14日以内の試用期間中の解雇であっても、民事上は無効となる可能性があります。

 

こういったお話をすると、事業主さんからは「それなら、試用期間など意味がないじゃないか!」と言われたりします。

試用期間とは、採用時には分からないような“業務への適性”等を判断する期間とされています。

試用期間中の解雇では“客観的に合理的な理由”と“社会的相当性”については、通常の解雇よりも多少ゆるやかに判断される傾向があります。

それでも多少です、多少。

そうなると、試用期間中の解雇であっても、決してハードルは低くありません。

試用期間中であっても、できる限り解雇は避けるべきでしょう。

 

ただ、実務上は、試用期間を設け、その期間内に能力や適性を見極めた結果として“退職勧奨”を行った場合、退職勧奨に応じてもらえることが多いように思います。

そういった意味では、試用期間を設ける意義はあると私は感じています。

 

<補足>~解雇と退職勧奨についての説明~

退職勧奨とは、会社から従業員への退職の働きかけ、退職の提案といったものです。

退職勧奨に応じるかどうかは、従業員は自由な意思で判断することができます。

それに対し、解雇とは事業主からの一方的な雇用契約の解除であり、従業員の意思は関係ありません。

当然、従業員の合意などは不要です。

そして、労基法や労契法(民事的な法律)の制限を受けるのは解雇だけです。

 

 

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発信者プロフィール
 
 社会保険労務士事務所いいだ
     社会保険労務士  飯田弘和(いいだひろかず)
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