■ 始末書の提出を拒まれたとき■
おはようございます、東京都府中市の社会保険労務士 飯田弘和です。
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【チェックポイント その326】
始末書の提出を拒まれたとき
ある会社さんから、こんな質問を受けました。
「始末書の提出を命じたが本人が拒否しました。どう対処すればよいでしょうか?」
業務で労働者がミスや不祥事を起こしたとき、会社は懲戒処分を科すことができます。
会社には、社内秩序を維持する権利が当然に認められます。
社内秩序維持の実効手段として、懲戒処分を設けることができるという訳です。
しかし、懲戒処分とは、社内秩序を乱したり、社内ルールを破った者へのペナルティであり、社内秩序や社内ルールは会社ごとに異なりますから、懲戒処分については、就業規則等に明文化しておく必要があるとされています。
懲戒処分には、けん責や減給、出勤停止などがあり、最も重いものが懲戒解雇となります。
懲戒処分を科す際には、始末書を提出させることが一般に行われています。
ちなみに、けん責処分の説明として、「労働者に始末書を提出させ、将来を戒める処分」などの解説を見かけますが、本来のけん責とは「労働者の過失等について厳しく咎めたり、責めること」であり、必ずしも始末書の提出がマストという訳ではありません。
始末書とは、いわば“反省文”であり、「反省するかどうかは労働者の心の中の問題であり、それを強制することはできない。したがって、始末書の提出を強制することはできない。」というのが、裁判所の考え方です。
ですから、始末書の提出をしない者に対して「提出していない=反省していない・今後も繰り返す可能性がある」との判断のもと、評価や考課が下がることはあるとしても、提出を強制することはできません。
そういう場合には、始末書ではなく“顛末書(てんまつしょ)”の提出を求めるというのも一つの手です。
顛末書とは、仕事のミスや不始末・不祥事、ルール違反等について、労働者自ら事の経緯を書いたものをいいます。
この“顛末書”であれば、会社は業務指示として提出を強制できます。
もし顛末書の提出を拒むのであれば、業務指示に従わないとして懲戒処分を科すことも可能です。
もちろん、懲戒規定において、業務指示に従わないことが懲戒処分の対象となることが記載されていることが大前提ですが…。
〈詳しくは、HPにてご確認ください〉





