■年次有給休暇■
おはようございます、東京都府中市の社会保険労務士 飯田弘和です。
↓ 本日のチェックポイントはこちらです↓
【チェックポイント その190】
御社の就業規則には、年次有給休暇の定めがありますか?(その2)
【解説】
今回は、年次有給休暇についての注意点をいくつかお話したいと思います。
まず初めに、前回お話した比例付与制度についての補足説明から。
年次有給休暇は、御社で働くすべての従業員(6ヶ月間の継続勤務かつ出勤率8割以上)に対して、与えなければなりません。
しかし、所定労働日数が週4日以下で、かつ、1週間の所定労働時間が30時間未満の方の場合、所定労働日数に応じた日数だけ、有給休暇を与えればよい事になっています。
それが、前回お話した、“「週4日勤務の方は、年間7日」「週1日勤務の方でも、年間1日」の有給休暇”ということです。
この場合でも、1週間の所定労働時間が30時間以上でしたら、年間10日の有給休暇を与えなければなりません。
ですから、「1日8時間、週4日勤務」の方の場合、年間有給休暇付与日数は、7日ではなく10日となります。
次に、出勤率の計算に当たっての、注意事項を挙げます。
以下の(1)~(5)の期間は、「出勤したもの」として、出勤率の計算を行わなければなりません。
(1)労災により休業した期間
(2)産前産後休業期間
(3)育児休業期間
(4)介護休業期間
(5)年次有給休暇を使って休んだ期間
その他の注意事項もいくつか挙げておきます。
●有給休暇の利用目的は従業員の自由であり、会社の干渉は許されません(自由利用の原則)。
有給休暇の取得の際に、休暇取得事由を書かせたりするのはダメです。
●有給休暇は、従業員の希望する時季に与えなければなりません。(時季指定権)
※ただし、「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、他の時季に変更してもらうことが可能です(時季変更権)。
しかし、「ちょっと忙しいから」とか「うちの会社はギリギリの人数でやっているのだから、休まれたら困る」とかでは、時期変更は許されません。
そうは言っても、会社の方もいろいろ事情があるでしょうから、取得日や日数について、従業員と相談するのがいいでしょう。
上からではダメです。あくまで、相談、お願いという形じゃないと。
●「労使協定」を結べば、有給休暇のうち「5日を超える部分」については、あらかじめ会社の定めた日に与える(休ませる)ことができます。(計画的付与)
●年次有給休暇を使ったことによって、不利益に扱うことは禁止されています。
●年次有給休暇の「買い上げ」は禁止されています。
※ただし、退職が決まっている従業員に対して、退職日までに使い切れない分を「買い上げる」ことは可能です。
この場合の買い上げ金額は、会社と従業員の間で自由に決めることができます。
●有給休暇を与えた日から「2年」で、その有給休暇は、時効によって「消滅」します。
(翌年度までの繰越が認められるということです)
ただし、繰越した有給休暇と新たに発生した有給休暇のうち、どちらを先に使っていくかは会社で決めてO.K.です。
ですから、あまり誠実でない会社では、新たに発生した有給休暇分から先に消化していくことにして、繰越した分の多くを使い切れずに「消滅」させたりしています。
ただ、このやり方、従業員からの評判はすこぶる悪いです。
会社への忠誠心や仕事への情熱が一気に冷めることにもなります。
あまりセコイ事せずに、古い方の有給休暇から順番に使っていくようにしたほうが、結局は、御社にとって得だと思いますよ。
以上を踏まえて、あらためてお聞きします。
「御社の就業規則には、年次有給休暇の定めがありますか?」
〈詳しくは、HPにてご確認ください〉