就業規則は、入社から退職までのルールブック

おはようございます、社会保険労務士の飯田弘和です。

 

  本日のチェックポイントはこちらです

 

 

【チェックポイント その88

御社では、就業規則の書き間違えはありませんか?



【解説】

(労契法12条)就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。

この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 

いきなり、何のこっちゃ?!   そう思われた方、これからちゃんと説明していきますんで、もうちょっと読みすすめてもらえますか?

 

労契法12条では、就業規則で定められている労働条件よりも悪い労働条件で働かせようとしても、できないといっています。

たとえ、従業員との間に「合意」があっても、できません!

 

ちなみに、就業規則は、会社が好き勝手な内容を定めることができます

もちろん、法令違反はダメですが、そうでない限り、会社の好き勝手に定めてO.K.です。

従業員の代表者の意見を聴くという手続きは必要ですが、「合意」は不要です。

意見さえ聴けば、たとえ反対されていても構いません。

 

就業規則の内容が「不合理」である場合、裁判等で、その部分は無効と判断されることはあり得ます。

しかし、その判断が下されるまでの間は、たとえ不合理な内容の就業規則であっても、御社で働く従業員との労働契約として機能します。

 

 

ところでもし、この就業規則の内容に書き間違いがあったらどうしましょう?

 

裁判例を紹介します。

 

就業規則には、始業AM9:00、終業PM5:30、休憩1時間と定められていて、所定労働時間は7時間30分でした。

実際の勤務時間は、始業AM9:00、終業PM6:00、休憩1時間で、所定労働時間が8時間でした。

従業員も、9:00~18:00の8時間勤務を当然と思っていたようです。

 

しかし、ある従業員が気付いたのです。

「おかしい。就業規則の定めと違う働き方をさせられている・・・」と・・・

そして、就業規則では7時間30分の勤務時間なのだから、1日について30分の超過勤務が発生していると・・・

 

その不足分の賃金を請求して裁判を起こしました。

 

会社は、就業規則の記載は間違い・記載ミスであって、1日8時間勤務の認識(合意)のもとで労働契約を締結したのだから、追加の賃金を支払う必要はないと主張。

 

では、判決は・・・

就業規則は、使用者が労働者の同意を必要とせずに、一方的に定めることができるものである以上、その記載を誤って変更してしまったとしても、その責任は使用者において負うべきである」と判断。

不足分の賃金支払いを命じました。

 

たとえ実際に現場で行われていて、実質的な労働条件となっているようなものでも、就業規則の定める労働条件よりも悪い条件のものは、「無効」となるということです。

それが、単純な記載ミスによるものだとしても、ダメなものはダメ!

 

御社の就業規則に記載ミスがないか、今一度ご確認ください。

単純なミスであればある程、見落としがちだったりします。

 

 

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

 

「御社では、就業規則の書き間違えはありませんか?」



(発信者) 社会保険労務士事務所いいだ  飯田 弘和
http://soudan-iida.jimdo.com