10年前に私が鳴らした警鐘が・・・・ | 相場残日録(元相場師天の日記)

相場残日録(元相場師天の日記)

プロの相場師「天」の引退後のブログ、残日録として記していきます。

こんな記事がありました。

昨年から証券界を揺るがすクレディスイスAT1債券問題

録音データが示す「AT1債」裁判の新たな展開 三菱UFJモルガンは商品性を理解していたのか | 金融業界 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

少し抜粋

顧客「(特殊性のあるAT1債だというのを)営業さんの方に当然伝わってないでしょ、そういう話」

営業「そこまでは伝わってないです」

顧客「営業としてはそれを知らずに

『大丈夫だろう』としてお勧めしてたと。

でなきゃモルガンさんだけであれだけの金額売らないでしょう」

営業「売らないですね」

抜粋終わり

裁判に証拠として提出された録音データです。

 

こちらは1年前の記事

この問題がよくわかる記事です。

悲劇の舞台は「仕組み債」から「永久劣後債」へ 富裕層らが2.4兆円の大損!海外債券投資の罠 | 最新の週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

少し抜粋

スイス連邦金融市場監督機構はそうした支援策が、クレディ・スイスのAT1債が規定する「元本削減条項」に抵触するとして、無価値化すると判断したわけだ。

紙くずになったAT1債の総額は約160億スイスフラン。日本円に換算すると約2.4兆円にも上る。金融庁の調べでは、日本では富裕層を中心に約1400億円分が販売されていた。そのうち約950億円分を販売していた、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対しては、金融庁が顧客対応などについて報告するよう命令を出すなど、騒動は広がるばかりだ。

大手証券会社の幹部は「販売している側は、CET1比率の部分しか気に掛けていなかったというのが実態だろう。

公的機関の支援うんぬんの部分まで、きっちり説明した営業マンは少ないのではないか」と声を潜める。

つまり、販売する側すら目を向けていなかった条項を、顧客にしっかりと説明し理解させていたかと問われると、苦しい立場に置かれるということだ。

抜粋終わり

 

要するに 販売していた営業担当者は、公的支援が入ると

元本を毀損する というリスクをよく理解していなかった

なので、当然そのリスクを顧客に説明していなかった

ということです。

 

しかし、この商品を顧客に販売することを決定した商品部は

当然、そのリスクは分かっていたはず

リスクより得られる収益を優先した

そういうことです。

外資系は個人の報酬が収益実績と密接にリンクしています。

利回りの高い魅力的に見える債券

ところが実は大きなリスクを抱えている

そのリスクを表面化しないようにして販売すれば

ヒット商品になることは目に見えています。

結局 収益優先で この許されざる行為に及んだということ。

絶対にやってはならないことをやってしまった

この罪は大きい

 

この問題はこれまでも記事にしてきました

クレディスイスAT1債集団訴訟に | 相場残日録(元相場師天の日記) (ameblo.jp)

少し抜粋

自分がいたことろが引き起こした問題

ただし、はっきり言います。

バーゼルⅢ準拠の劣後債で、公的な救済がなされた場合

破綻はせずとも、元本は毀損する

それは、わかりきっていたこと

そして、一流の金融機関が

破綻や公的資金で救済されることは

過去、何度もあったこと

なのに

こんな事態=集団訴訟に・・・・・

残念でたまりません

抜粋終わり

 

クレディスイスAT1債集団訴訟に その2 | 相場残日録(元相場師天の日記) (ameblo.jp)

少し抜粋

私がいたプライベートバンクの会社が 

今この会社に一緒になってしまいましたが

当時、私は この商品の取り扱いを始めた商品部に

「絶対にやめた方がいい」

と警鐘を鳴らしていました。

バーゼルⅡと違いバーゼルⅢ準拠の劣後債は

公的機関による救済が行われたら

元本が毀損する

それは、最初から 明確な違いとして認識されていたはず

しかし、商品部はおろか、マネジメントも

誰も止めなかった 組織を挙げて

まあ 大丈夫だろうと・・・・

抜粋終わり

 

10年以上前ですが

私の警鐘が 現実となるとは

ただ、かなしい そして むなしい・・・

 

以上