ドル円161円の今後 | 相場残日録(元相場師天の日記)

相場残日録(元相場師天の日記)

プロの相場師「天」の引退後のブログ、残日録として記していきます。

昔、為替ディーラをやっていたものとして

為替の決定要因として最も大きなものは

投機筋のポジションと考えます。

 

今から26年前 1998年10月

当時の日本経済は

バブル崩壊の影響が大きく顕在化し

金融不安の真っただ中

三洋証券・北海道拓殖銀行・山一証券

日本長期信用銀行・・・・・

名だたる大手金融機関がバタバタと倒れ

まさに日本売りの渦中でした。

1998年当時の様子を書いた記事

外貨準備の1割を・・・               ~1998年4月10日の円買いドル売り介入~ | 相場残日録(元相場師天の日記) (ameblo.jp)

抜粋

翌朝、ドル円レートは もう130円を超えていました

介入効果は1日ももちませんでした

日本の外貨準備の1割を使ったのに・・・・

そして介入はぱたりと止み

ドル円は148円まで円安が進み

大蔵省が米国財務省に頼み込んで

ニューヨーク時間にFRBが日銀の代理介入をやってくれて

円安はやっと止まったのを鮮明に記憶しています。

抜粋終わり

 

たしか FRBが日銀の代理介入を実施したのが

98年8月だったか

その後、ドル円の上昇の勢いは止まり

135-140円あたりで膠着していました。

それが、当時世界最大のヘッジファンドであった

ロングタームキャピタルファンドが破綻したことをきっかけに

ロングターム・キャピタル・マネジメント - Wikipedia

ドル円は突如暴落

わずか2週間で 136円から110円まで

25円以上円高に動きました。

何が起こったか??

単に、強烈なリスクオフ相場になって

投機筋が積み上げていた円ショートポジションを

みんな一斉に手じまった結果です。

 

極論すれば 為替相場は 投機の極致

暗号資産と変わりません

金利差とか貿易収支とか

確かに為替の決定要因と挙げられるものはありますが

それらも、投機筋が何を判断材料とするかによります。

要するに

投機筋の動きこそ為替相場の方向を決めるのです。

私が現役ディーラーだったころ

最大の為替の決定要因として注目していたのは

米国金利ではなく貿易収支でした。

 

2022年10月 政府日銀がドル売り円買い介入に踏み切った時

151円から3カ月で127円まで24円円高に振れました

この時シカゴIMMの統計では

投機筋の円ショートポジションは1/5に縮小しています。

ただし、この時は 米国10年国債金利も

4.33%⇒3.32%に急低下していたので

投機筋が円ショートポジションを縮小する理由が

介入以外にもあったということでしょう。

 

しかし、重要なことが一つ

相場は需給 

買う人が多いか売る人が多いかで決まります

投機筋は利益確定のためには反対売買が必要

長い時間軸で見れば 売りと買いはチャラ

一方 日銀は この局面では 円を買うことしかしません

しかも 巨大な金額で

介入は 明らかに短期的な需給に影響を与えます。

要するに、介入は確実に効果はあるということ

その事実を踏まえ

ここから投機筋がどうするか??

ちなみにIMMの統計では

2022年10月の151円水準時の1.5倍の

円ショートポジションが積みあがっています。

そして そのポジションを4月末の介入で

あまり落としていません。

 

介入以外に米国長期金利の動向もポイントかと

その意味では

CRBインデックスの動きに表れている

インフレ再燃の恐れ?

これも重要なファクターかもしれませんね

インフレ懸念消えず | 相場残日録(元相場師天の日記) (ameblo.jp)

 

おおきな動きというリスクからは

投機筋の円ショート巻き戻しによるドル円急落

ただし、インフレ懸念 米国長期金利の高止まりを考えれば

介入による 5円程度の動きはあっても

まだまだ円安が続く そんなシナリオの可能性も

 

重要な点は ドル売り円買い介入には

外貨準備を使い切るわけにはいかないという

限界があるということ

 

さて、この勝負 どうなるでしょうか?

 

以上